「水うちわ」猛暑で人気 風情ある不思議なうちわ 岐阜・長良川鵜飼がはじまり
岐阜県美濃市にある、和紙の専門店。水の入った桶に浸して用いる“水うちわ”が、猛暑で人気です。
「今年は暑いので店頭にある物を見ていかれる方も多いですし、遠方に送られる方もみえる。水うちわ目指して買いに来る人が増えた(気がする)」(カミノシゴト 神谷文与さん)
うちわとしては高価なものですが、今年は続く異常な暑さのためか、すでに去年よりも5パーセントほど売り上げが増えているそうです。
「水が飛んで気持ちいい」(観光客)
「こういう伝統・文化に触れる機会ができて、暑い中でも来てよかったなと思います」(観光客)
水うちわが登場したとされるのは、100年以上前の明治時代。当時は長良川鵜飼いの船上から、水うちわを川につけ、見物客が涼んだという逸話もあります。
そんな水うちわですが、最盛期には200人以上いた職人も、いまでは数人に。1965年頃~2005年頃までの期間には、完全に生産がストップしていました。
その要因の一つが、水うちわに使われる特殊な薄い紙、雁皮紙(がんぴし)が手に入らなくなったことでした。
2005年の愛・地球博 “水うちわ”復活
水うちわの復活に一役かったのが、岐阜市内で和紙の会社を営む家田学さんです。
「(2005年の)愛・地球博のときに、和紙の新しい商品の展覧会を岐阜駅でやらせていただいて、その中に水うちわも展示した」(家田さん)
愛・地球博の際に、限定100本で水うちわを製作し販売したところ、即完売。その後も、復活を望む多くの声あったことから、生産を再開することに踏み切りました。
そして、それ以外にも、家田さんにはある思いがありました。
「和紙の市場はどんどん衰退し、若者が育っても仕事がない。水うちわがブレイクしてくれなかったら、もしかしたら職人たちの何人かはやめていたのでは」(家田さん)
水うちわの人気が出たことで、若手和紙職人たちの仕事が増えたといいます。
「まとめて2~3本買う人も多く、どうも海外に持っていくお土産にしているようです。この10年間まったく人気が衰えず、作っている側も驚いています」(家田さん)
人気が拡大している“水うちわ”、皆さんも一度試してみてはいかがでしょうか?