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「原爆」爆心地の砂や水を作品に 81歳芸術家が戦争のむごさ描く

報道局
愛知特集 2018/8/8 10:30

 

 名古屋市内に住む芸術家、大津定信さん(81)。今もパワフルに創作活動を続けています。そんな彼は原爆をテーマにした作品に挑みました。

 

 

 20年ほど前に奥さんを亡くした大津さん。子どもや孫には恵まれたそうですが、今はひとり気ままな生活。

 アトリエは名古屋市内とは思えない、自然に囲まれた場所にあります。

 

 

 大津さんは、以前は“環境”をテーマに創作活動を行っていましたが、あることがキッカケで“原爆”をテーマにしたといいいます。

「原爆というのはひどいなあというのは中学校ぐらいに思ったんだけど、作品に結びつけたのはニューヨークのテロ」(大津定信さん)

 2001年9月11日、アメリカのニューヨークで起きた同時多発テロ事件。

 大津さんは、同時多発テロが起きたニューヨークを事件の翌年、個展のために訪れ、テロの脅威に震撼し、怒りを感じたといいます。

 子どものころ名古屋空襲の体験もある大津さんは、「無差別・無抵抗の殺人」を「テロ」と呼ぶなら、生きるものすべてを焼き尽くした「原子爆弾の投下」こそ、「人類最大のテロ」と考えています。

 

被爆地・広島の爆心地の砂を作品に

 今年5月、大津さんは被爆地の広島に向かいました。

 

 

「広島に来て、広島の元安川の河原に降りて、川を眺めていると、自分の顔が映って、この揺らいでいる顔が被爆者の顔かなと」(大津定信さん)

 爆心地を流れる元安川では、原爆が投下されたとき被爆した人々が水を求めて集まり、折り重なるようにして亡くなりました。

 ここに大津さんの作品にとって欠かせないものがありました。

「この広島の元安川の砂が、元安川の水が、被爆者の悲惨な状態をよく知っていると思います。きょうは被爆者の血と骨と混じった砂を少し頂戴して私の絵に使います」(大津定信さん)

 

 

 被爆地の砂への思い。砂をすくうことに、大津さんが感じること。それも爆心地で。

「このスコップですくう音が、被爆者の悲鳴の音のように聞こえます。この砂はすべてを知っております。この水は被爆者の悲しみを、涙を集めて流れている元安川です。戦争というものは本当にむごたらしいものでございます」(大津定信さん)

 

全身全霊 作品と向き合う

 被爆地の水を使った下地に、被爆地の砂がまかれる。芸術家の感性がゆっくりとイメージを作り上げていきます。

 幼いころの空襲の記憶、被爆者の悲しみ、被爆者の怒り、被爆地の砂と水。筆を使わず、体すべてを使っての作品作りが始まりました。

 

 

 被爆地のすべてを知っているという砂や水から伝わってくるもの。

「広島の人の、“水が欲しい、熱い熱い熱い”。こっちに傾けると耳から、“水、水、水”。こっちに傾けると耳から“熱い、熱い、熱い”。体からチクチクチクと熱い、やけどしたような感じがしてきます。元安川の水があの被爆の惨状を、そして爆心地の土が、3500度、4000度の熱風を体験して、私にこんな熱かったんだと話してくれた気がします」(大津定信さん)

 

 

「いま日本は平和ですけど、平和は黙って続くものではない。平和になるように努力しないと、戦争のむごさというものを知らないと平和への情熱がわからないから、やっぱり平和が来るように祈りを込めて」(大津定信さん)

 平成最後の夏。大津さんの個展が名古屋市中区のセントラルパークで開かれました。

 

 

 今年作りあげた、あの作品も展示されていました。

「普通の絵よりもすごく引き込まれる感じがして」(客)
「戦争への怒りみたいなものがすごく伝わってくる」(客)

 不確かな者の叫びが浮かび上がる、大津さんの作品。

 81歳の芸術家は、これからも作品を通して人々に問いかけ続けます。

 

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