絵本作家は小学1年生の女の子 地元コンクールで大賞 五感で本を楽しむきっかけに 岐阜・関市
ほとんどの人が人生の中で1度も経験できないことを小学1年生にして、早くも経験した女の子がいました。
1月26日、岐阜市の印刷工場「協同印刷岐阜工場」。ワクワクした表情で女の子がみつめる先では、絵本が印刷されていました。
印刷を見守る女の子は、絵本の作者、吉田寧俐(ねいり)ちゃん、小学校1年生です。
自分の作品が本になっていく様子に興味津々です。
印刷されるのは300冊。しかし、なぜ、寧俐ちゃんの絵本が印刷されているのでしょうか。
その背景には、岐阜県関市にある印刷会社社長の熱い思いがありました。
「紙の良さや本の良さを伝えたいなと思いました」(協同印刷 小川優二 社長)
この時代だからこそアナログの良さを地元・関市の子どもたちに伝えたい。そんな思いから始めたのが 「せき えほんコンクール」でした。
過去の「せき えほんコンクール」大賞作品。
どちらも作者は小学生です。関市の自然を舞台に心温まるストーリーが広がります。
大賞に選ばれると、実際に本になり、銀行や図書館、学校などに置かれるほか、地域の読み聞かせ会にも登場し、子どもたちに親しまれます。
今年で3回目となる今大会の募集テーマは「ごめんなさい」。
地元の子どもたちの力作がそろいました。
「最近は活字離れや電子書籍などで、本から離れてる人たちが多い。インキのにおいやページをめくるときの指先の感覚とか、五感で本を楽しむ、そういったきっかけにしたい」(協同印刷 小川優二 社長)
今年、大賞に選ばれたのは吉田寧俐ちゃんの作品「きれいなかわは うれしいな」でした。
去年12月、小川社長はサプライズで寧俐ちゃんに大賞を伝えに行きました。
「寧俐ちゃんの作品が、本になることが決まりました。おめでとうございます」(小川社長)
「選ばれないと思ってたけど、選ばれたからうれしい」(寧俐ちゃん)
恥ずかしそうに答えます。
寧俐ちゃんが描いた作品「きれいなかわは うれしいな」。絵本のあらすじは、
『長良川にすむ2羽の鵜のうっくんとうっちゃん。人間がゴミを捨て、川が汚れて困ってしまいます。しかし、怒った山の主が川のゴミを舞い上げます。すると舞い上がったゴミを見て、バーベキューに来ている人たちが「川をよごしてごめんなさい。」と川を掃除しました。すっかりもとどおりのきれいな川になり、2羽は喜びました』
絵と作文が大好きな寧俐ちゃんの日課は、
「これぜーんぶ絵日記」(寧俐ちゃん)
見せてくれたのは絵日記。学校の先生からは、二重丸が。
そんな寧俐ちゃんの将来の夢、それは、
「絵本作家」(寧俐ちゃん)
まさに、その第一歩をこのコンクールから踏み出すことになりました。
寧俐ちゃんの絵本は、最終工程を経て2月下旬ごろにできあがります。記念すべき絵本作家デビューは、まもなくです。
「早く完成して、先生に見せてあげたいな」(寧俐ちゃん)