昭和レトロなディープな世界 「蒲郡北駅前地下街」に潜入 謎のサックス吹きも 居心地のよいワケとは
東海3県の地下街で有名なのは名古屋市ですが、実は愛知県蒲郡市にディープな世界が楽しめる地下街がありました。地元の人にもあまり知られていないようですが、その地下街の雰囲気にはまる常連客も多いようです。その魅力を探ります。
名古屋で、地下街といえば名古屋駅の“エスカ”や中区の“サカエチカ”などが有名ですが、総務省によると名古屋市内には地下街が16か所、実は名古屋市以外の東海3県では蒲郡市に1か所のみあるといいます。
取材班は、さっそく愛知県蒲郡市へ向かいました。JR蒲郡駅前で聞いてみました。
Q.蒲郡市に地下街があるって聞いたんですが?
「知らないです。どこにあるんですか」
「知らないです。なにがあるかわかんない」
そんな中、地下街を知っているという女性が…
「地下?蒲郡駅を越していったところかな?地下になっているんだけど。結構飲み屋さんとかね、今もあるんだけど」(女性)
有力な情報をゲットし、その場所へ行ってみると。
「地下へ続いている階段があります」(記者)
地下へと続く階段は薄暗く、外からでは中の様子はわかりません。一体、中はどうなっているのか?
レンガ造りの壁の地下道を抜けた先にあったのは、50年以上前につくられた「蒲郡北駅前地下街」。まるで昭和にタイムスリップしたかのようです。現在居酒屋など6店舗が並んでいます。
端から端が見えるぐらい短い距離のこの地下街。一体どれくらい短いのでしょうか?
「今から蒲郡の地下街の端から端までの歩数を測ってみたいと思います」(記者)
実際に記者が歩いて歩数をカウント。時間にして約20秒。端から端までわずか27歩でした。
一軒の店に伺うと…
「蒲郡一短い地下ね、20何メートル、日本一短い地下」(ちどり 斉藤節子さん)
地下街ができた当時からここで居酒屋「ちどり」を営む、斉藤節子さん。この地下街の魅力について聞いてみると…。
「ずっと長いこと地下やっているもんで、なにが魅力かわからないけど、53年もやらせてもらってるってことは、居心地がいいってことかな」(ちどり 斉藤節子さん)
地下街にはほかにも…。なにやら客が外からのぞき込む店が。看板には「鳥太郎」。その店に入ってみると。そこには、サックスを吹く謎の男性が。生の演奏を聞きながら、酒を楽しめる店なんでしょうか?
「一か月前から、週2か3ぐらい来てます」
Q.サックスを吹きに来ているわけではない?
「そうです。お肉がおいしかったので」(男性客)
なんと、演奏していたのは客。1か月前にふらっと立ち寄り、こちらの焼き鳥のおいしさにはまったといいます。
「ぶっちゃけ、やばいかなと思ったんですけど。ちょっとした小道で昭和感が残っているところはあると思うが、全部が昭和というか」(男性客)
今ではすっかりここの常連に。サックスの音を地下街に響かせていました。
お好み焼きと書かれたのれんをくぐり中に入ると、カウンターに並んでいたのはラップがかかった家庭料理の数々。
「最初はお好み焼きを主にやってたんですけど、お酒を飲みながらおつまみがあるといいねと」(風太郎 坂田清子さん)
常連さんが集うこちらのお店、常連さんとおかみさんで年一回旅行にいったり、ゴルフをするほど仲がいいといいます。
「ママの人柄で、ひょこっと来た時にこういう家庭料理をいただけるので。若い衆連れてきたりとかなかなか飲む場所減っているので。そういうかたちでママもご対応いただけるのでそらへんすごくありがたい」(男性客)
親子二代で通っている常連客もいるそうで…
「子どもが勝手に飲みに来るもんな。なんできたんだっけ?あいつ」(男性客)
「お父さんの影響だよ」 (風太郎 坂田清子さん)
一度入るととりこになってしまう蒲郡市の地下街。そのディープな世界に一度迷い込んでみるのはいかがでしょう。
