電車が受験生の味方? 名鉄の走行音にリラックス効果あり 意外な効果で受験生を応援
リラックスできるという「意外な音」が、ちょっとした話題を集めているようです。その正体は一体?
名古屋市千種区にある「上野天満宮」。
そこで、神妙な面持ちで手を合わせる親子が。
「娘の大学受験の合格祈願に来ました」(受験生の母)
こちらでは学問の神様・菅原道真公が祀られていて、この時期多くの人が合格祈願に訪れます。
「僕の受験の時とかも家族が支えてくれたので、僕も妹の手助けになればなと思って」(受験生の兄)
さらに、参拝後にこんなものも…
「仏壇と神棚に備えて合格したら飲みます。ぞれぞれで」(受験生の祖父)
境内で合格祈願した水。参拝後に買う人も多いといいます。
「最後の一押しじゃないですけど、背中を押してもらえるというのが神社の存在なのかなと思いますので。努力もしていただいて、誓いを立てて受験に挑むというのが」(上野天満宮 禰宜(ねぎ) 半田敦さん)
受験生を応援する気持ちは、意外な広がりをみせています。
受験が目前に迫ると、緊張感も高ぶってしまうもの。そんな学生に対して、少しでも“リラックス”してもらいたい! そう考えたのが、通学の足として学生を支えている名鉄(名古屋鉄道)。
そのリラックスの原点が“電車の中”に潜んでいるというのですが。その答えを伺いました。
「電車の音を使ってリラックスミュージックを制作しました」(名古屋鉄道 丹羽悠美加さん)
なんと、車内に響く電車の音。実際の電車の音を収録し、受験勉強中のひと休みなど、リラックスしたいときに聞いてもらおうと作られたのです。
しかしなぜ、電車の音にリラックス効果があるというのでしょうか。音響工学の専門家が分析すると、ある結果が明らかになりました。
「驚きました。まさに驚きました。ああ、あるのかと。1/fゆらぎを持っている現象というのは人間にとってリラックスであるとか良い作用を及ぼすんじゃないかと」(名城大学 西野隆典教授)
電車の音から見つかったのが、音のゆらぎのバランスが心地よいとされる、「1/f(エフ分の1)ゆらぎ」というもの。
これは自然界の水や風の音などに含まれ、リラックス効果を裏付けるものとされています。
例えば、水滴の反響音を楽しむ水琴窟は、1/fゆらぎのある音。数値を見ると、1/fゆらぎの領域に当てはまっているそうです。
さらに驚くべきことが。
分析を進めると、名鉄の路線によって1/fゆらぎが特に多い路線が明らかに。
「(名古屋鉄道)本線は、1の付近に相当する音の部分(1/fゆらぎ)が非常に少ない。一方で尾西線は1の前後に出てくる区間が非常に多いと」(西野教授)
特にリラックス効果が高いのが、尾西線。分析を行った「名鉄一宮駅」から「玉ノ井駅」の区間に集中していたのです。
「行き帰りの電車で覚えたりすることが多いので、集中して結構、短い時間なんですけど入っていきます」
「小説の話なんですが学校で読んでいるときよりかはすらすら読めるようになります電車だと」(尾西線を利用する大学生)
ではなぜ尾西線から1/fゆらぎが多いのでしょうか。明確な理由は“分からない”としつつも、名鉄の担当者からはこんな答えが。
「尾西線は単線区間であるというところと。車両も少し古い車両だったり、枕木(線路のレール)が木の枕木ということもあるのでは」(名古屋鉄道 丹羽さん)
何気ない音に秘められた思わぬリラックス効果。名鉄の走行音が受験生を応援しています。
