2021年05月12日 16時33分
「豊橋名所 豊橋停車場及ビ吉田駅」。
まず日本の鉄道における官庁の歴史を軽くおさらい。
●1871年(明治4年)工部省鉄道寮(のちの工部省鉄道局)
●1885年(明治18年)工部省が廃止され、内閣の直属に
●1897年(明治30年)現業部門は逓信省外局の鉄道作業局に分離
●1907年(明治40年)3月に帝国鉄道庁官制公布。同年4月1日に鉄道作業局を改組した帝国鉄道庁設置
●1908年(明治41年)鉄道局と帝国鉄道庁を統合した内閣鉄道院を新設
●1920年(大正9年)鉄道事業の権限強化・独立を目指して、鉄道省に昇格
ということで手前が「省線」の豊橋駅。今のJR東海/豊橋駅で、この駅名は1888年(明治21年)の開業当初から変わっていません。
奥の建物。豊川鉄道の「吉田駅」。
1897年(明治30年)豊川鉄道「豊橋駅」として開業。その後1899年(明治32年)に吉田駅と改称しています。
もっとも1943年(昭和18年)に豊川鉄道は国有化されたため、その時点で「豊橋駅」の名前に戻りました。
さて時代考証。吉田駅は大正末頃に改築されて写真の形になったということで、駅前の自動車からも察するに、昭和に変わった頃ではないかと思っています。
なお愛知電気鉄道豊橋線(現在の名古屋鉄道名古屋本線)は自社の線路ではなく、1927年(昭和2年)、豊川鉄道の線路を借りて吉田駅に乗り入れを開始しています。よってこの写真の駅舎から名古屋方面に向かったことは間違いありません。