2021年11月01日 21時45分

名古屋の鉄道136年史(6)鉄道が開通した頃の浮世絵。

鉄道の開業後、『陸蒸気(おかじょうき)』を題材にした実に多くの浮世絵が発行され、今の時代にまで残されています。今回はそうした中から一部の作品を紹介します。

「従汐留横浜迄蒸気車鉄道往辺之図」(人形町 具足屋)

開業直後の発行と思われる1枚。

この浮世絵の機関車は昨日紹介した「テンダ式」ではなく明らかにタンク式。デフォルメされて表現されるのは浮世絵の常とは言え、日本最古の機関車の1両である150形(1号機関車)で正解でしょう。

それにしても背広姿で、如何にもこの場に不釣り合いな方は一体誰なんでしょう?

「国鉄80年 機関車の発達」著者/本島三良・臼井茂信(昭和27年(1952年)/交友社)

これが150形の写真。現在は埼玉県さいたま市の「鉄道博物館」に保存されています。

鉄道博物館に行かれる機会がありましたら是非、自分の目でご覧下さい。

※この写真は2010年12月5日撮影。

「東京高輪鉄道蒸気車走行之全図」一曜齊国輝(と思うのですが、ネットで検索すると「曜齊国輝」とも出てきます)

この絵のポイントとしては「貨車」を繋いでいること。調べたところ、開通時から貨物輸送が始まっていたようです。

また橋の上には2頭立ての馬車がいて、当時の「バス」の役割を担っていたのではないかと思われます。

「東京府下自漫競 品川之鉄道図」広重(恐らく3代目広重。左下の「広重」は読めるのですが、姓の部分は判読出来ず)

鉄道が「自慢」を「競う」中での1つだったという話し。

ところでこの浮世絵には「電柱」と「電線」が描かれています。よって明治15年(1882年)以降の作画であることは間違いありません。描かれている機関車や客車に大きな変化が感じられないので、開通から10年の経過の中では、鉄道車両に大きな変化は無かったということでしょう。

※電気について/参照:電気事業連合会のウェブサイト

    

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    プロフィール

    稲見部長稲見眞一
    <自己紹介>
    昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!