2021年11月01日 21時45分
鉄道の開業後、『陸蒸気(おかじょうき)』を題材にした実に多くの浮世絵が発行され、今の時代にまで残されています。今回はそうした中から一部の作品を紹介します。
「従汐留横浜迄蒸気車鉄道往辺之図」(人形町 具足屋)
開業直後の発行と思われる1枚。
この浮世絵の機関車は昨日紹介した「テンダ式」ではなく明らかにタンク式。デフォルメされて表現されるのは浮世絵の常とは言え、日本最古の機関車の1両である150形(1号機関車)で正解でしょう。
それにしても背広姿で、如何にもこの場に不釣り合いな方は一体誰なんでしょう?
「国鉄80年 機関車の発達」著者/本島三良・臼井茂信(昭和27年(1952年)/交友社)
これが150形の写真。現在は埼玉県さいたま市の「鉄道博物館」に保存されています。
鉄道博物館に行かれる機会がありましたら是非、自分の目でご覧下さい。
※この写真は2010年12月5日撮影。
「東京高輪鉄道蒸気車走行之全図」一曜齊国輝(と思うのですが、ネットで検索すると「曜齊国輝」とも出てきます)
この絵のポイントとしては「貨車」を繋いでいること。調べたところ、開通時から貨物輸送が始まっていたようです。
また橋の上には2頭立ての馬車がいて、当時の「バス」の役割を担っていたのではないかと思われます。
「東京府下自漫競 品川之鉄道図」広重(恐らく3代目広重。左下の「広重」は読めるのですが、姓の部分は判読出来ず)
鉄道が「自慢」を「競う」中での1つだったという話し。
ところでこの浮世絵には「電柱」と「電線」が描かれています。よって明治15年(1882年)以降の作画であることは間違いありません。描かれている機関車や客車に大きな変化が感じられないので、開通から10年の経過の中では、鉄道車両に大きな変化は無かったということでしょう。
※電気について/参照:電気事業連合会のウェブサイト