2021年11月03日 8時19分
なかなか名古屋の鉄道の話しが出てきません。次回からは多分、本題に入ることが出来るかと思います。今暫くお付き合い下さい。
「 鉄道80年のあゆみ 」運輸調査局 編(昭和27年(1052年)/日本国有鉄道)
馬車鉄道というものがかつての日本にありました。この写真は東京・新橋駅前。明治15年(1882年)に開業した「東京馬車鉄道」で、日本最初の馬車鉄道でした。
蒸気機関車よりも時代遅れに見えるこの鉄道が、明治15年開業とは意外かも知れませんが、馬車鉄道は長距離ではなく、市内交通として日本に登場しています。「えっ、電車じゃないの?」とか思われるかも知れませんが、日本で最初の一般営業用電気鉄道が京都市に登場したのは明治28年(1895年)のことなのです。
絵はがき「上野三橋ヨリ山下ヲ望ム」。当初は新橋と日本橋を結び、その後日本橋 ~上野~浅草~日本橋間の環状線も開業させています。当時、東京におけるというか、日本における2大鉄道ターミナルの新橋と上野、そして大繁華街の浅草を結んでいました。
※上野駅は明治16(1883)年に開業
「両国橋及浅草橋真図」井上探景画 出版/松本平吉 画工/井上安次
この部分には馬車の鉄道だけではなく、線路を走らない乗合馬車も描かれています。共存共栄の関係だったのでしょうか?
さてこの馬車鉄道(東京馬車鉄道)はその後、東京電車鉄道と社名を改めて路線の電化を進め、明治44(1911)年には、東京市が路面電車を経営していた民間会社3社を買収し、東京市電が誕生しています。
余談ですがこの東京馬車鉄道の軌間は1372ミリ。この軌間はその後の都電であったり京王線・都営地下鉄新宿線、東急世田谷線、函館市電が採用していますが、日本の1372ミリは以上で全て。何故この軌間が東京馬車鉄道で採用されたかは不明ですが、今の日本に1372ミリゲージがあるのは正にここが発端であることは間違いありません。
話しは変わってギリス/グレートブリテン島とアイルランド島に囲まれたアイリッシュ海の中央にある「自治権を持ったイギリスの王室属領」である「マン島」。
観光施設ではない世界唯一の公共交通機関としての馬車鉄道があります。(実質的には観光客用とも言える)
ダグラス・ベイ馬車軌道 (Douglas Bay Horse Tramway )。写真は2014年8月の訪問時のもので、その後廃止されるとのニュースが出ましたが、最終的には線路を付け替え現在も運行されています。
今は出掛けることは出来ませんが、今後渡航できるようになったら、都市交通の原点とも言えるこの鉄道を体験されては如何でしょう。