2021年11月15日 22時32分
桃山御陵前駅~向島駅間にある澱川橋梁(よどがわきょうりょう)。
今回のツアーの目的の一つで、1928年(昭和3年)に作られた鉄製トラス橋。
文化庁「国指定文化財等データベース」の解説文からの転載。
『旧奈良電鉄によって宇治川に架けられた下路式曲弦プラット分格トラス橋。陸軍演習に支障がないよう無橋脚橋梁として建設され,我が国の単純トラス橋で最大の径間長165mを誇る。関場茂樹の設計で,神戸川崎造船所製作。宇治川の鉄道景観を代表する建造物。』
つまりこの橋の周辺が陸軍の演習場でなければ、ワンスパンでこの橋が造られることなく、そうすると橋桁が複数ある普通の橋になっていたかもしれないということ。もっともそうなっていればこうして登録有形文化財(建造物)として、改めてその価値を認められることはなかったかも知れません。それにしても「径間長165m」が架橋当時から今に至るまで日本記録を保持しているという事実は凄いことだと思います。
ただし、そうした橋を架けなければならない事情はそう多くはないという証(あかし)でもあるそうです。
もっとも大鉄道会社とは言えなかった奈良電にとって、この橋の建造がどれほど経営に影響をもたらしたかは想像に難くありません。また昨日の高架下商店街ですが、これも陸軍の関係で、地平ではなく高架になったそうで、決して奈良電が望んだ結果ではないそうです。
造形美という言葉を思い浮かべるほど美しい形状の橋だと思います。
もっともその形ではなく橋としての役割において、鋼鉄の塊ともいえる(昭和初期の)電車が6両編成ですれ違っても問題のない強度で最初から設計されていたそうです。
10:09、ここでの最大のイベントである京都駅発賢島駅行き「しまかぜ」が走り抜けていきました。
10月30日(土)、近鉄京都線歴史探訪jの旅はこれにて終了です。