1年経ちました。(恩田 千佐子アナ)
手術は右乳房全摘出・右腋リンパ節摘出・右乳房シリコンインプラント再建手術を同時に行うものでした。この写真は手術が終わり、1人になったとき・・・。一晩動けない状態で、血栓ができないように両足には空気圧でマッサージしてくれる装置が巻かれていました。寝返りも思うようにできず、暑くなったり寒くなったり・・・寝苦しい夜を過ごしました。身体がつらかった以上に、この先に待ち受けている治療への恐怖で悶々としていたことを思い出しました。
17日間の入院中は多くの方にお見舞いに来ていただきました。
このサングラスは手術のときや入院中に、すっぴんを見られたくないので、わざわざ度入りのものを作ったんです。
手術前にこのサングラスをかけていたら
「いや、不自然ですから!」とスタッフに一蹴されてしまいましたが・・・。
(^^)
食事はとてもおいしかったですよ。
温かいおかず、冷たいサラダ、嬉しいデザート・・・
栄養も考えられていて、ありがたかったです。
最初は毎回写真を撮っていたのですが、
10日くらいでもういいか・・・と中断しました。
院内移動図書館では、
本やマンガも借りて読みました。
起床してから、検温・診察(乳腺外科・形成外科)・部屋の掃除・入浴・・・午後からはお見舞いと、入院中も結構忙しいものだな・・・と思いました。
読書もしましたが、空いている時間には、記録ノートに治療中の出来事や自分の気持ちを綴りました。読み返すと、不安やちょっとした不満が書かれていて、前向きな言葉はあまり書かれていませんでした。
正直に落ち込んでいる自分、そんな自分を励ます言葉・・・
気持ちの浮き沈みが目立ちました。
もしも・・・の事を考えて子供たちそれぞれにノートを用意し、
母として伝えたい事も綴りました。
「キャッチ!」でも随時 様子を報告させていただきました。
スタッフが病室に持ってきてくれた、皆さんからの励ましの手紙やメッセージには、胸が熱くなりました。同じ乳がんを患い今は元気に過ごしている方、ちょうど闘病中の方、これを機に検診をした方、ご家族が乳がん患者で経験したことを教えてくれた方・・・。
多くの励ましの言葉に、本当に本当に元気づけられました。
絶対「キャッチ!」のスタジオに戻って、皆さんに元気な姿を見せるぞ!と誓いました。
11月30日(木)3週間ぶりの「キャッチ!」に出演!
このときは右乳房にはシリコンインプラントが入っていたので、左右のバランスもよく元通りといってもいいくらいでした!
見た目は満足していたのですが、実は傷の治りが悪く、浸出液が出続けていました。
3日おきくらいに通院し針を刺して液を抜いてもらっていたのですが、追いつかず行き場がなくなり・・・とうとうふさがっていた傷が裂けてしまったのです。
こうなった以上は感染の心配もあり、もうシリコンを入れっぱなしにできません。「シリコン抜去手術」をすることを決意し、12月に再び入院。
手術のあともドレーンから浸出液が出ていました。液が出ている間は、ゆったりと湯船につかることができません。シャワーのあと、患部がお湯につからないように身体を傾けて慎重に温まりました。
不思議なことに、ぺちゃんこになった右胸をみるつらさよりも
「寒い時期に湯船にゆったりとつかり全身を温めることができない」ことが
苦痛に感じていました。
年明け早々、抗がん剤治療が始まりました。
治療薬を点滴で血管に入れるのですが説明も含めて1時間くらい。
終わってからしばらくは変化がなかったので「おや?私は吐き気もなく副作用が少なくすむのでは?」とぬか喜びをしました。
そう・・・ぬか喜びです。
夕方から吐き気が襲ってきてぐったりしてしまいました。
そしてもう一つの大きな副作用である「脱毛」が、例外なくやってきました。
本やお医者さんの言うとおり、
1回目の抗がん剤から2週間後くらいから、髪の毛がごそっと抜け始めました。
それはそれは、恐ろしいほど洗髪の度に髪の毛の塊が手に絡んでどんどん抜けてしまいました。
「これでストップかな?」と思って撮った写真ですが、実際はこの後も抜け続け、
ほとんどなくなってしまいました。
まつげが抜けた時用に「つけまつげ」も用意していました。
眉毛用には・・・特に何も用意していませんでしたが、とにかく抜けないように祈っていました。
祈りが通じたのか、何とかまつげと眉毛は抜けずにすみました。
抜けることも想定していたので、これでだいぶ負担が減りました。
抗がん剤治療が終わり、3月19日(月)「キャッチ!」2度目の復帰!
この日を待ち望んでいたはずなのに、初日はそわそわドキドキ・・・何だか逃げたしたい気持ちにもなりました。
オープニングでは、大きな声で「こんにちは!キャッチです!」と久しぶりのご挨拶。
声が震えないように大きな声を出しましたが、やっぱりうわずってしまいました。
3月の「キャッチ!」復帰から
9月いっぱいまで毎日ヘアメイクさんが髪形を工夫してくれました。
最初は生え際にシャドーを入れ、サイドが伸びてきたら髪を耳にかけ・・・
なるべく自然にみえるように日々気をつけました。
手術前と同じハーフアップができるようになると、少し前向きな気持ちになれました。
そして・・・
10月1日(月)に、とうとう地毛で出演し始めました。
ベリーショート・デビュー♪
心許ない気持ちではありましたが、ウィッグをとってホッとしました。
この半年間ずっと仮面をつけているような気がしていて、落ち着きませんでした。
番組でも「抗がん剤治療をしていたこと」を報告し、ひとつ前に進んだ気がします。
11月初めに、母校の学園祭に行きました。
連続3年訪れています。
去年は乳がんの手術を控えていたので「まだ元気な私」を満喫していました。
でも・・・1年経った今年も「元気な私」!
「がん治療中の患者」ではありますが、
な~んだ、去年と同じだ!
ここは表参道。
学生時代に原宿駅から表参道の坂道を歩いてバイトに通いました。
いまは高級ブランド店が立ち並んでいて気後れしてしまいますが、
当時はもう少し落ち着いた雰囲気で、大股で颯爽と歩く自分に酔っていました。
お金持ちでもなくオシャレに自信もないちっぽけな自分を、この街が「頑張れ!」と応援してくれている・・・と感じていました。学生のときの夢や希望に満ちた日々を思い出せる、自分にとってのパワースポットです。
学園祭を見たあとは、
大学時代の友達と後輩と一緒に食事をし、近況報告や何気ない会話を楽しみました。
久しぶりに会ってもすぐに学生時代の関係に戻るのが、不思議ですね!
こうやってこれからも、時々会って元気をもらいたいと思います。
乳がん手術から1年・・・。
治療は続けていますが、元気に過ごしています。
家族との時間も以前より大切にしているつもりですが、特に言葉にはしていませんね~。先日娘が帰省したとき、手術のときや抗がん剤治療中に何を思ったか、改めて聞きました。私が想像していた以上に、娘と息子には複雑な思いを抱かせていたようです。
11月16日(金)の「キャッチ!」では 支えてくれた家族の今だから言える本音を放送する予定です。