2011年03月09日 17時44分

「リニア・鉄道館」(4)クモハ52 004。

今回からは『名古屋レール・アーカイブス』からは離れますが
私の仕事の専門である“アーカイブ”の視点も時に入れながら続けます。

皆様に「リニア・鉄道館」にかけるJR東海の本気度を
知っていただける分かり易い事例を一つ。

右側が「リニア・鉄道館」に展示してある「クモハ52 004」。
左側が「佐久間レールパーク」で展示されていた時代の
「クモハ52 004」です。

一見、変わったようには見えませんが、実は今回の展示に当たって、
『乗務員ドア』が無くなりました。
●製造時(登場時)に『乗務員ドア』は無く、その後改造されて
『乗務員ドア』が付いた。
飯田線で走っていた頃は『乗務員ドア』があった。

つまり、この車両も製造当初の形に戻されたのです。
しかも凄いのが、見た限り、最初から『乗務員ドア』が無かったかのように
見えることです。

この「クモハ52」に限らず、館の展示車両は、どれもが登場時であったり、
一番輝いていた時代の姿に出来る限り近づける修復を施されていますが、
「クモハ52」の修復は、単なる化粧直しではないだけに
結構大変だったのではと推察してます。
因みに「リニア・鉄道館」の公式ガイドブックには
昭和12年当時の状態を復元しているとありました。
たかが『乗務員ドア』1枚かもしれませんが、
佐久間レールパークでは再現しきれなかったことが
ここで実現したと言っても良いでしょう。

等と私は偉そうに書いていますが、実は「『乗務員ドアに注目』とかは
知り合いの方から教えられたもの。
私は「乗り鉄」が故に、車両や鉄道史は詳しくなく、まして、
「撮り鉄」さん達のような『一発勝負』の緊張感に耐えられず、
普段は一番“お楽”な鉄道趣味を楽しんでいます。

それでも、何人もの方から、各車両のそれぞれの歴史について
色々と教えられながら「館」を回るのはとても楽しいひと時でした。

2011年03月09日 8時55分

「リニア・鉄道館」と「名古屋レール・アーカイブス」(3)C57 139。

名古屋市営地下鉄「今池駅」にほど近いJR東海社員研修センター
(国鉄時代は「中部鉄道学園」…私にはこの方が馴染みがある)に
保存されていたので、ご覧になった方も多いのでは?
「C57 139号機」です。

“お召し仕様”(「お召し列車」牽引時の特別な仕様)の優美さを
往時そのままに、実に美しい姿を見ることができます。
この「C57 139」をご覧になる際は、
是非とも他の「C57」を知った上でご覧いただくことをおすすめします。
そうするとその外形の違いを比較することによって
「お召し列車」を牽引することがどういう意味を持つかが
実感できるはずです。
※例えば、ボイラーの横の柵状に見えるものなどなど。
 

ここからは『名古屋レール・アーカイブス』を軸にした話しの続きで恐縮です。
この「C57 139」につきましては、
このブログでも昨年の3月31日、8月30日の2回UPしていますが、
その時の写真が、この展示車両の解説ボードに当会の提供として
使われています。
(「EF58」同様、撮影者の個人名はありません)

私の写真を含め、「C57 139」では3枚の写真が使われていますが、
当会が管理している「C57」の現役時代の写真は数百枚にも及び、
やはり提供者が、このエリア在住の方が多かったこともあり、
ズバリこの機関車の写真も数多く、
今回はそうした経緯で『日の目』を見ています。

このC57に限らず、昭和40年代頃までに鉄道写真を撮影していた方は、
一番若い世代でも50代後半であり、そして、その写真の殆どは
趣味の世界の話しだけに“誰にも知られずに消えて行く”運命にあります。
当会はそうした「歴史の記憶」の保存・活用をしており、
趣旨にご賛同していただいた多数の方から寄贈を頂き、
この「リニア・鉄道館」での写真展示に繋がっています。
※写真については、著作権の譲渡をして頂いているモノも多数あります。

最後に私が言いたいのは、誰かが過去の「写真・書籍・資料」を
埋もれさせない作業を継続しなければ、ここにいる車両たちが
歴史の生き証人ではなく、単なる展示物になってしまうという事です。
「リニア・鉄道館」の見学の際は、是非とも解説もご覧頂き、
各車両の歴史とそれに繋がる「リニアまでの道」を知ってください。
またそれをきっかけに、なぜこうした写真が発掘されたかに思いを馳せていただき、合わせて当会の地道な活動の一端に触れて頂ければ幸いです。
●「交通新聞社」を始め、当会以外の方による貴重な写真も
多数展示されており、歴史の発掘に役立っていることも報告しておきます。



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プロフィール

稲見部長稲見眞一
<自己紹介>
昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!