2011年03月17日 18時03分

JR東海「リニア・鉄道館」(8)「歴史展示室」「収蔵展示室」。

三陸鉄道では、北リアス線/陸中野田~久慈間で3往復の列車が
動くようになりました。
三陸鉄道のHPによれば「復興支援列車」とあり、3月22日までは
乗車運賃が無料となっています。

私自身の「阪神・淡路大震災」取材の経験からすると、
ライフラインの復旧は、被災者にとって正に命綱が手元に届いたと言っても
過言ではないと思います。
水道・電気・ガス・通信・交通等の復旧は、本当に一歩ずつしか進みません。
その中で交通の復旧の意味合いは、移動可能となるということで
『他所との繋がり』が戻ることにあります。
神戸でも、少しづつ開通区間が延びていく度に住民の方の心が
落ち着いていき、生活が“日常”に戻っていったような気がしました。
三陸鉄道が、今回運転を始めた「北リアス線」でも
甚大な被害が出ています。それでも出来る事から
一歩ずつ『公共交通機関の使命』を全うしようとする姿には
心から敬服しています。

正直、被災地の今とこれから、そして福島原発の今とこれからが
不透明な状況は変わっていません。

その状況で「趣味」の話題をUPするのは私自身少し気が引けています。
それでも、私は名古屋に住んで、今は日常の仕事に追われ、
家庭でも、いつもと大きく変わらない生活を送っています。
皆様のご理解を頂き、こうした「鉄」話しで皆様に少しでも
「ホッとする」ひと時を提供できれば幸いです。

「リニア・鉄道館」では、「歴史展示室」「収蔵展示室」にも
注目してください。ここには鉄道の様々な資料が展示されており、
これが素晴らしく充実しています。
展示方法も工夫されており、私が偉そうにいうのは相当に憚られますが
“納得”の域に達しています。
個人的には開館後にもう一度、ゆっくりとその全てを味わいたいと
思っています。と言うのも今回、私は車両展示の倍ほどの時間をかけて
ここを回ったのですが、正直、「リニア・鉄道館」にいた午後からの
2時間程度では、この「展示室」の全てを見ることが出来ませんでした。

ところで私は『アーカイブ』という言葉を使っていますが、
本来は『公記録保管所』を意味し、“過去”の公的な文書・資料の
保管場所の事で、時に文書等そのものを指す場合もありました。
ただ最近では、民間企業・個人での保管のみならず文書・資料にプラスして
写真・映像・音声・コレクション等、『保管所』に収蔵される
そのものを指す言葉として一般化しつつあります。
また収集・保存・管理・公開する仕組みそのものを
『アーカイブ』と言うことも増えつつあります。

今、中京テレビでは言うか私の用語の棲み分けは、映像・音声を
保管する“場所”は『ライブラリー』(図書館的な保管とお考え下さい)と
言い、そこにある映像・音声の一つ・一つの“素材”を
『アーカイブ』と表現することが増えています。
また、“場所”と“素材”とそれを活用することを合わせて
『アーカイブズ』と表現することもあります。
(専門的な話しで恐縮です)

(余談)
『名古屋レール・アーカイブス』が『ス』と濁らないのは、NHKが多分、
語感からだと思うのですが『アーカイブス』という言葉を使っており、
一般的にその方が通りやすくなっていることからそうしています。

実は、ここまでが前置きで、「リニア・鉄道館」の所謂展示資料は、
正に『アーカイブ』であり、その利用方法も含めると『アーカイブズ』と
言えます。
それを有効利用するもしないも実のところ入館者次第ではありますが、
私としては是非、皆さんにじっくり見ていただきたいと思っております。

2011年03月17日 12時40分

東北地方太平洋沖地震(4)。

国土交通省が昨日、報道向けに発表した
「平成23年東北地方太平洋沖地震」における鉄道の被害状況及び
対応状況等です。その内容をほぼ全文転載します。

○東北、山形、秋田新幹線の主な被害状況で確認された被害が580箇所以上
復旧の目途が立っていない。

【これまでに確認された主な被害と箇所数】
 ・電柱の折損等(約250箇所)
 ・架線の断線(約200箇所)
 ・高架橋柱の損傷(約90箇所)
 ・レールの変形(約20箇所)
 ・変電設備の故障(約10箇所)
 ・防音壁の落下等(約10箇所)
 ・駅の天井材の落下(5駅)
 ・橋桁のずれ(2箇所)

○鉄道(在来線)の被害状況と復旧見込み
1.JR東日本の在来線の主な被害状況
[1]被害情報収集中の路線
  大船渡線、気仙沼線、石巻線、常磐線
[2]一部判明した路線
  東北線(盛土崩壊)、八戸線(橋げた流失)、山田線(橋りょう流失)、
  仙石線(土砂流入)、仙山線(架線切断)、常磐線(駅舎崩壊)、
  鹿島線(橋脚損傷)、成田線(線路陥没)、日光線(ホーム損傷)、
  烏山線(ホーム損傷)、飯山線(路盤崩壊)

2.民鉄の主な被害状況(引き続き、被害状況確認中)
  仙台市交通局(レール変形)、三陸鉄道 北リアス線(橋脚等流出)、
  南リアス線(土砂流入)、IGRいわて銀河鉄道(路盤流出)、
  仙台空港鉄道(仙台空港駅司令室等冠水)、
  阿武隈急行(丸森駅施設損傷) 

3.運転再開した路線
 ・津軽線 蟹田駅~三厩(みんまや)駅間(15日16時03分)
 ・田沢湖線 赤渕駅~盛岡駅間(15日16時31分)
 ・東北線 花巻駅~盛岡駅間(15日17時48分)
 ・東北線 宇都宮駅~黒磯駅間(16日始発より)
 ・奥羽線 横堀駅~大曲駅間(16日始発より)

4.運転再開予定の路線(予定日)
 ・三陸鉄道北リアス線 陸中野田駅~久慈駅(16日)
 ・田沢湖線 大曲駅~赤渕駅間(18日)
 ・五能線 (18日)

以上です。
なお、このブログですが、未だ被害の全容がつかめない中ですが
今夕以降を目処に通常の更新に戻すつもりです。

2011年03月17日 0時20分

東北地方太平洋沖地震(3)。

先ほどJR貨物のHPを見ていて、羽越~奥羽~北海道の
貨物ルートが復活したことを知りました。
しかし、東京周辺並びに東北線・常磐線・上越線は
まだ動いていません。
東海道線もまだ(名古屋方面から)静岡までしか動いていません。
東海道線は不通区間は無くなっているので、
早く貨物が動き始めることを願っています。

ところで、国土交通省の発表による現在の不通区間ですが
田沢湖線は大曲~赤渕間が18日の開通予定で、
これで田沢湖線が全線復旧となります。

一方で、運転休止中の各線の被害状況のについての説明には
具体的な被災状況が記載されたものの他に「被害情報収集中」と
「点検困難」があります。

「点検困難」はまさに被害状況を把握しようにも、
その端緒にも着けない路線と思われ
大船渡線・気仙沼線・石巻線がそれに当たります。
何れも一番被害の大きかった地域を走る路線です。

昨日の日経新聞のネット版で、JR東日本の地震災害時の保険は
最大710億円と出ていましたが、実際に復旧にかかる費用は
1000億円を超えるのではと言う見通しもあるようです。

一日も早い全線復旧を!と言うことは簡単ですが
被害状況の一覧表を見ていると、早々にはできないことを
思い知らされるばかりです。



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プロフィール

稲見部長稲見眞一
<自己紹介>
昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!