2011年03月18日 18時00分

JR東海「リニア・鉄道館」(10)何を今更、最後にジオラマ。

「リニア・鉄道館」の紹介をテレビ等でする際、圧倒的に時間をかけて
放送されているのが超巨大『ジオラマ』です。
「このブログで紹介してくれなくてもいいよ」という声が
聞こえてきそうですが、そんなことを言わずに暫しお付き合いのほどを。
なお、今回の2枚の写真、上段写真の東京付近の情景並びに
下段写真(矢印のカメラマンの人形に注目)を選択した理由は、
後で種明かしします。

この『ジオラマ』の制作風景は、中京テレビのニュースでも放送されたので、
ご覧になった方もいるかとは思いますが、大阪府豊中市にある
「株式会社ヤマネ」が制作したものです。

スタッフ数が19名と小さい会社ですが、昭和29年から
既に60年近い歴史があり、博物館等の展示造型物の分野では
その表現力は高く評価されており、敢えて“トップランナー”の一社と
言わせていただきます。
●決して『鉄道ジオラマ』の専門メーカーではありません。

それゆえ、制作過程で思わぬ事態もあったやと聞いていますが、
一方で、造形物の専門メーカーならではという部分も見受けられます。
●大規模ジオラマならではのJR東海の拘り。(上段の写真)
*東京・有楽町付近で、「ヤマネ」が作ったジオラマでは「新幹線」と
「在来線」の位置関係が実際とは逆だった(新幹線が西側)ので、
その部分は制作途中で一から写真の状況に作り直しています。
(JR東海からの指摘を受け・・・だそうです)
※在来線を「313系」が走るのはご愛嬌として・・・。

●「ヤマネ」ならではのお話しの例。
*全部かどうかまでは確認していませんが、建物の中など、
ジオラマ見学者の見えない所までも造型がなされています。
⇒見学者は、どうやってもそれを楽しめない。

*約2万5千体の人形には、モデルが存在するモノも!
⇒下段写真のカメラマンは、「ジオラマ」制作を取材した際の某局スタッフ。
(私は、彼の人形を捜すのに苦労した。なお本人からの申し出で、
局名及び名前は公開できず。こんな情報が入る私は一体何者?)
⇒JR東海の実在の社員の人形がどこかにあるらしい。

●とにかく各所に「ヤマネ」スタッフの“遊び心”が満載で、
海の中を『焼き魚』が泳いでいたりするのを探すのも
このジオラマの楽しみです。

昨年の12月25日にUPした「素麺鉄道」の作者、Hさんは以前私に
「お金をかければ出来ることと、お金とは別次元のことが鉄道模型にはある。
それが“遊び心”」と話してくれましたが、
この『ジオラマ』が単に“大きい”だけであったら、
これほど多くのマスコミの取材対象にはなっていないのでは・・・。
プロとアマの違いはあるものの、「ヤマネ」のスタッフの方達はきっと、
入館者を楽しませる前に自分達が“本気”で遊んでいたのではないでしょうか?
それが私たちにも伝わり、多分、多くの入館者を楽しませると思います。
また、こんな自由度の高い発注をしたJR東海も“なかなか”です。

※『焼き魚』の件は、鉄道アーティストの「小倉沙耶」さんから
教えてもらいました。探してください。
※このジオラマは“隠れキャラが一杯”と言われていますが
何せ数が多すぎて、“隠れキャラ”の域を超えています。

皆さん、「リニア・鉄道館」を様々な視点から楽しんでください。

2011年03月18日 14時58分

今日(3月18日)のJR東日本の運行状況。

今朝から田沢湖線が全線開通し、
在来線と秋田新幹線が盛岡~秋田間で運転を始めました。
※秋田新幹線は4往復。盛岡駅の乗り場は在来線ホーム。
※写真は、平成9年(1997年)5月15日、秋田駅にて撮影。

この情報は、JR東日本のHPで確認しているものですが
JR東日本のHPでの一般向けの情報公開が
やっと本格的に進み始めました。

今日の最新情報では、東北地区の運転再開状況や
東京から仙台(新潟・鶴岡からバス連絡)・盛岡・青森までの
迂回ルートの案内がされており、バス連絡の仙台を除く
盛岡・青森までの列車の接続時刻表も発表されています。

2011年03月18日 10時40分

JR東海「リニア・鉄道館」(9)展示の意義について一考察。

今朝から「青い森鉄道」「IGRいわて銀河鉄道」が全線で
運転を再開しました。

また、昨日の国土交通省の発表資料で
山形新幹線(福島~新庄)が復旧作業に入ったことがわかりました。
東北本線でも一ノ関~北上が20日には開通の見込みです。
これで一関~盛岡~目時~青森が繋がることになります。
また、JR貨物では、東京エリアでの貨物の引き受けを始めました。

ここで地震災害への備えを「地震被災地取材の経験者」として少し。
地震に限らず、停電・断水時にとても困ることに「トイレ」があります。
水や食料の備蓄をしている家でも、そこまで準備している人は
少数派でしょう。
私の家では一定期間分の「非常用トイレ」をトイレに置いています。
いまは常備していませんが、自家用車には「携帯トイレ」も
一時置いていました。
考えるまでも無いことですが、「水」が無ければ「水洗」は使えません。
また、「トイレ」に数回分溜めておくということもありますが、
「大」を溜めるといざ流そうとして“詰まる”危険性があります。
風呂の水を抜かずに常に非常事態に備えるということも
よく言われているのですが、それも限界があります。
「非常用トイレ」はホームセンター等で手に入りますので、
是非、準備をされておくことをお勧めします。
但し、これは一義的には“自宅が使える”ことが条件ではあります。
避難所では、個人が用意した数回分の「非常用トイレ」は焼け石に水で
あまり意味がないと思ってください。

また避難所の仮設トイレは、汲み取り式が多いと思われます。
便を溜めておく場所が足元に見えるタイプの場合、
不慣れからトイレに恐怖感を抱く人もいます。
また、便器が和式の場合、神戸では、和式で用をたせない子供達への
対応に苦慮していました。

何れにしろ「トイレットペーパー」の備蓄は必要です。
ただ、現状で必要以上に買いだめすることは、
東北地方への供給に支障を来たしかねないので
あくまでも、平常時の備えとしての話しです。
また、家に備蓄があったとしても、それは“個人”レベルではなく
被災者で共有できるものは“共有”という心も必要です。

(JR東海「リニア・鉄道館」(9)展示の意義について一考察。)
シンボル展示コーナーでは、狭軌のSLでのスピードの世界記録を持つ
「C62 17」、
電車方式での当時の世界記録を持つ「300X 955-6」、
鉄道としての世界記録を持つ超伝導リニア「MLX01-1」が
美しい並びを見せています。
このラインナップは、J東海ならではでないでしょうか?

ところで『アーカイブズ』というと、どうしても“過去”の文書・資料・
写真等々というイメージがあります。
でもこの“過去”が曲者で、実際には、今、私たちが生きている
一瞬一瞬から“過去”は始まっています。
その意味で、「リニア」の展示は、『アーカイブズ』としての意義があります。

中京テレビの『アーカイブズ』(映像ライブラリー)では、
撮影した映像を同日もしくは出来る限り撮影日から近い時点で
『アーカイブ』化しています。
その『アーカイブ』化で何をしているかと言うと、撮影日・
撮影した番組名・ディレクター(ニュースなら記者)・カメラマン・
『アーカイブ』化する映像の保管場所・『アーカイブ』化する映像に
写されている被写体の詳細等々、とりあえず考えられる限りの情報を
データベース化しています。
このデータベースが無ければ、『アーカイブ』化した映像は
“絵に描いた餅”です。何故なら、中京テレビが今現在、どんな映像を
持っているかの調べようが無ければ、そもそも使うことが出来ないからです。
もしも撮影した本人でしかその“ありか”が分からなかったら・・・、
如何に活用(再利用)することが困難かと言うことは皆様にも
ご理解いただけると思います。

さて、3月14日の「リニア・鉄道館」開館を控え、
私が内覧会で感じた纏めですが、“開館”は『アーカイブズ』の
到達点ではなく、単なる一里塚、いやスタート地点にやっと立ったと
言っても良いでしょう。
JR東海が『これから始まる“過去”』を如何に集積し、データベース化し、
活用(ここでの展示を含め)するかはまだ端緒にも付いていないので
ここで軽々に語ることは許されませんが、私はこの「リニア・鉄道館」が
『アーカイブズ』として将来に繋がる場所となることを切に願って止みません。



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プロフィール

稲見部長稲見眞一
<自己紹介>
昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!