2011年04月05日 18時03分

樽見鉄道「運転体験講習会」(8)2両の廃車体。

運転体験の際、自分の順番では無い時に、樽見に向って右側の側線に
留置されている2両を見ていました。

右の車両は「ハイモ230-312」、
左の車両が「ハイモ230-301」です。
「312」は今回の廃車ですが、「301」は2年前に廃車された車両です。

今回、この2両は『ミャンマー』に“部品”として売却され、
実は、この「運転体験講習会」の翌日、
3月14日にこの本巣駅から樽見方面に2駅の木知原に移され、
そこからトレーラーに積み込まれました。
ここ本巣駅ではトレーラーに積み込めないためそうしたそうですが、
そもそも積出港までそのまま“甲種輸送”的なことは
出来ないかも思ったのですが、
費用の問題やそもそもJRの線路を走らせる状況に無かったようです。

それにしてもこの2両、ミャンマーでは輸出の建前とは違い
“部品取り”ではなく、当然の事ながら“車両”として
使用されると聞いています。

「ハイモ230-301」は2年前から動いていないわけですから、
「大丈夫か?」という気はするのですが、
現地ではちゃんと修理しながら使い続けるようです。
ある種、考えようによっては“凄い”技術力です。

まあ、樽見鉄道の車両が生き永らえるのは、ある種嬉しい反面、
故障でもしたら、何か『日本の信頼』を無くしそうで
若干恐い面がある点は否めません。

ところでこの風景に出会えたのは、樽見鉄道が「運転体験講習会」に
合わせた訳ではなく、全くの偶然とのことでしたが、
私の「鉄」心に響いたのは間違いありません。ラッキーでした。

2011年04月05日 9時03分

樽見鉄道「運転体験講習会」(7)ここが終点です。

この写真で、左側の「十文字」のある場所が、
今回の「運転体験講習会」『モレラ号』停車位置です。
その停車位置の少し先右側で、立っている(安全確認をしている?)方は
同鉄道の田中社長で、私たちの運転を長い時間見ていました。
(ひょっとして見張っていた?)
さすが第1回目(本当は、1回目ではなく“プレ”体験会なのですが…)
だけありますね。

ところで、次回というか本当の第一回「運転体験講習会」は
5月3・4.5日となっています。
※次回の「運転体験講習会」は樽見鉄道のHP
ご確認下さい。

で、話しは“運転”に戻しますが、
今回は全参加者が初回ということで最高時速“15キロ”となっていましたが、
次回以降に誕生する2回目以上の参加者は
時速20キロまでの体験が出来るそうです。

参加者はここを1往復するのですが、さすがに全国の『運転体験』の中でも、
運転区間が長い(300メートル)利点を生かし、
往路は150メートル毎に2回、
一番難しいブレーキをかけることができるようになっており、
そして復路は300メートルを一気に駆け抜ける段取りになっていました。

運転して思ったのは300メートルあるならば、
出来れば時速30キロ程度は出せるのではという点ですが、
残念ながら『側線』には速度制限があり、それは25キロなのだそうです。
ただ『20キロ』にその速度を抑えているのは、
万が一にも25キロを超えないための対策だそうです。
残念というか止むを得ないということでしょう。

何れにしろ、その枠を超えない範囲でしか国土交通省の許可は
出ないのですから、私たちもそれに従うしかないようです。

2011年04月04日 18時09分

樽見鉄道「運転体験講習会」(6)ブレーキ弁ハンドル。

ブレーキ弁ハンドルにビニールテープで、“印”がつけてあるのが
樽見鉄道の「運転体験講習会」の特徴です。

この鉄道のブレーキ装置は『直通空気ブレーキ』で、
編成両数の少ない鉄道向きだそうです。
※長編成になると、後部車両のブレーキのかかりが遅くなる欠点が
あるとのこと。

また高速運転より、一定の時速以下の車両に向いているとのことで、
樽見鉄道ではこれを採用しているそうです。
これ以上の技術的な話しには私は付いていけません。
悪しからずご了承下さい。

ところでビニールテープの話しですが、
実際にブレーキ弁ハンドルを扱ってみて、初心者にはこれが大正解!
それぞれの位置を目標にハンドルを動かせば、初めての運転でも、
そこそこちゃんと止めることができるのです。
他の運転体験では見かけない“配慮”ですが、ここをスタートに、
次(2回目の運転体験)は一つテープを外し、
最終的にはテープを無くすなど、ステップアップが図れそうです。

何れにしろ、鉄道車両の運転で一番難しいのが「ブレーキ操作」であることは、
多分、皆さんも異論は無いと思いますが、
このテープは正にそのハードルを低くしてくれるアイテムで、
「ブレーキ操作」へのアレルギー(恐怖?)を無くすには
うってつけと感じました。

また、この「モレラ号」ですが、思いの他、他の「運転体験」時の
車両に比べ、ブレーキ扱いが『自動車』に近い感じで、
ハンドルの位置に合わせて『ブレーキ』が効いていく感じでした。
指導運転士さんにそのことを伝えたところ、
「そんなに違いは無いはず」とのことでしたので、
個体差なのかもしれません。

私の感想としては、ここで修行(運転体験)を積んで、
他の鉄道に「チャレンジ」もありかな?ということでした。

2011年04月04日 8時50分

樽見鉄道「運転体験講習会」(5)主幹制御器。

上段の写真は、主幹制御器のモデルです。
何でこんなものがあるかというと、“学科講習”の最後に、
このモデルを使って主幹制御器(マスコン)の操作を実習しました。
まあ考えてみれば、まず『運転』の第一歩がマスコンであることは
間違いなそそうです。
しかし、こうした体験は“お初”でした。
画面のないトレインシミュレータと言った所でしょうか?

そして、下段の写真ですが、私に運転の順番が回ってまいりました。
マスコン・ブレーキ弁ハンドルを持つ手も様になって…いる訳ないですね。
●手袋は参加費の中に入っていますが、帽子は運転時に貸してもらいます。
そして指導運転士さんが、参加者運転中の写真を撮ってくださいます。

それにしても自分で言うのも何ですが、
なぜもっと嬉しそうな顔が出来なかったのでしょう?
でも、「楽しもう」「楽しもう」と思えば思うほど何故か体が硬く
なってしまうのです。

ところでノッチには5段階があるのですが、
段階ごとにクリックされるわけではないので、
ノッチとノッチの途中のところで止めてしまうことがあります。
そうするとフルノッチの状態となる時があり、
その途端「大きな警告音」がなります。
参加者でその「警告音」を鳴らさなかったのはほんの数名です。
さて私は???ご想像にお任せします。

これは「そういうシステムになっている」からなのだそうですが、
そもそも何でこんなややこしい構造になっているかについては
聞きそびれました。
なお、この「運転体験」では“3ノッチ”までしか使いません。

2011年04月03日 21時59分

樽見鉄道「運転体験講習会」(4)運転する線路。

樽見鉄道の運転体験は、本巣駅西側の側線を使って行われます。
その側線で実際に「走る」距離は300メートルです。
各鉄道会社の『運転体験』の中でも長い方ですが、
こうして見ても長さが実感できますね。

で、この線路を最高時速15キロで疾走します。
たかが15キロと言うなかれ。そのスピードでも十分、
疾走感が楽しめるのです。
運転体験時に毎度思う事は、乗客の時に比べ、
自分が運転している時の体感速度が『何とも早い』ということ。
“運転体験七不思議”の『一つ』です。
※他の6つの不思議は…、これから考えます。ご容赦を・・・。

ところで、この方向(大垣から樽見方面)、
実は3パーミルの上りになっており、
実際に運転すると分かるのですが、この殆ど水平にしか見えない線路で
何と勾配がはっきり体感できるのです。
それは特に下りこう配(この線路の逆、樽見から大垣方面)で顕著で、
ノッチを入れるのは出発の時だけで、後はブレーキをかけるだけと言っても
決して大袈裟ではありません。
一方、運転の難しさは上り勾配で、ブレーキのタイミングが難しく、
ともすると失速して停止位置より随分前で止めてしまいそうでした。
(あくまでも私の感想です。参加者全員が同じ感想かどうかは別です)

明知鉄道の明智駅のように、勾配が見た目でも分かれば何となく
心構えができるというものですが・・・。
まあ、実際には心構えができたとしても、
それで何かが変わるわけではありませんが・・・。

2011年04月03日 9時07分

「桜駅」の桜2011。

昨年も3月下旬に何度かUPした名鉄「桜駅」の“1本桜”です。

見比べてみると昨年より若干、開花が遅れ気味でしょうか。

おっと、撮影日と撮影時間をまず書くべきでした。
昨日、4月2日(土)朝9:30頃です。

これからが見頃でしょうか?と書きつつも・・・。
普通、“一本桜”と言えば、
この地方では樽見鉄道「樽見駅」近くの「薄墨桜」であったり、
高山本線「宮駅」下車直ぐの「臥龍桜」が有名ですが、
ここ「桜駅」の“一本桜”は、立地条件とありふれた姿のためか
あまり人気がありません。(誰も注目していない?)

考えてみれば(考えるまでもなく)(考える必要がない?)、
私が「桜駅」の“桜”のことを書いているのは
単に、駅名が「桜」だからであって、それ以上でもそれ以下でもありません。
また、利用者の方で、この桜に足を止めて、花を愛でたりする人を
私は見かけたことがありません。
何せ昨日もこの写真を撮っていたら、「何をやってんだろう?」と
言わんばかりに、やや冷たい系な視線を感じました。

とは言うものの、駅にこうした木があり、
季節が廻れば美しい花を咲かせるという事だけで
十分、乗客の心を休ませてくれていると思います。

2011年04月02日 21時37分

樽見鉄道「運転体験講習会」(3)ハイモ230-314とご対面。

今回、私たちが“運転体験”したのは、ハイモ230-314。
平成4年富士重工製です。
※富士重工の鉄道車両部門を引き継いだのが、
新潟トランシスであることは皆さんご存知ですね。

平成18年に沿線にオープンしたショッピングモール
「モレラ岐阜」の全面広告車で、『モレラ号』と呼ばれています。

この車両をこれから運転するのですが、この電車の前に立った時の気持ちは
お察しください。

既に若狭鉄道(SL)・明知鉄道(気動車)・豊橋鉄道(路面電車)
・碓氷峠鉄道文化むら(EL)と、私はそれなりに実車の運転経験は
積んできたつもりですが、やはり慣れることは無いですね。
程良い緊張感が私をゾクゾクさせていました。

ところで写真の左端に『体験運転士のりば』という看板と短いホームが
あるのがご確認頂けますでしょうか?
実はこれ、樽見鉄道の社員の方たちの手作り。
今回の「体験運転講習会」向けに新たに作ったのだそうです。
まあ、如何にも取って付けたような感じでして、
ホームは今年の1月15日にUPしたオーストラリアのジグザグ駅の比では
無い短さです。
さすがにここにピタッと止める運転士さんの技には感服でしたが
この程度は『当たり前』『朝飯前』という感じでした。
尤も私達、体験運転士には、このホームに止めるなどというような
“過酷”な体験はありませんのでご安心ください。

さあ、12:45、いよいよ「ハイモ230-314」に乗り込みです。

2011年04月02日 8時00分

樽見鉄道「運転体験講習会」(2)いざ「本巣駅」へ!

3月13日(日)、朝10:40に集合、
無事40分間の事前講習を終えた私達は、昼食後、
「モレラ岐阜駅」12:28の列車で「運転体験講習会」の会場、
「本巣駅」へ向かいます。
この日の列車は踏切事故から復帰した『ハイモ295-315』です。
※写真は「モレラ岐阜駅」&進入する列車です。長閑な風景の中の駅です。
心が安らぎます。

さて、ここまで書いてきて皆さんには「運転体験講習会」が
樽見鉄道にとって、単なるファンサービスではない事が
ご理解いただけたかと思います。
実際に同様の「運転体験」を行っている鉄道会社は、
「若桜鉄道」「明知鉄道」「関東鉄道」「小湊鉄道」などなど、
決して大手の鉄道会社ではありません。
※「明知鉄道」の『明知』は駅名の『明智』と異なるため、
毎回変換ミスが無いか気を遣っています。ふうっ。

勿論、増収策の一環でもあり、ここ樽見鉄道の「運転体験」も
一人“1万円”の参加費が必要で、
決して気軽に参加できるものではありません。
ただ、ここでは「樽見鉄道1日乗車券」
「モレラ岐阜の2千円分の商品券(昼食で使える)」もついていて、
さすがに同様イベントの後発だけはあり、細かい工夫がなされています。
特に“1日乗車券”は、『乗ってもらうための工夫』として
評価しても良いと思いました。
ただ、遠方からの方には使いきれないかも知れません。
※地方鉄道で、「1日乗車券」が20枚も一度に売れることは
あまりないのでは?

こむずかしい話しが続いて恐縮でしたが、
まあ、私たち参加者が、楽しく運転体験することこそが、
樽見鉄道と地元に貢献できるわけで、
我々が「鉄」としての「(王)道」を歩むこと、つまり、
“乗って”“運転して”“楽しい1日を過ごすこと”が地方鉄道を再生する!
ということでしょうか。

2011年04月01日 18時33分

樽見鉄道「運転体験講習会」(1)辞令交付。

本日から、大船渡線の一ノ関~気仙沼が運行を再開するとともに
陸羽西線・わたらせ渓谷鉄道・山万が全線で運行再開
(山万…昼はバス代行)しました。
特にわたらせ渓谷鉄道は新型車両『WKT-501』も無事デビューを
果たしています。

さて今回の話題ですが、写真の説明は最後でします。

樽見鉄道の「運転体験講習会」が行われたのは、3月13日(日)でした。
「東日本大震災」の翌々日で、
樽見鉄道でもこの会を実施するかどうか相当悩んだようです。
が、結局この機会を見送った場合、良きに付け悪しきにつけ、
鉄道存続への地元向けアピールの機会を一つ無くすことになるとして、
敢えて批判にさらされるリスクも承知の上で開催を決定したと聞いています。

結果、地元を中心に遠くは神奈川県・大阪府からの参加者もいて
3名は欠席したものの17名による「運転体験講習会」がスタートしました。
欠席の方は何れも関東の方と言う事でしたが、それでもこの会の模様は、
地元のメディアで取り上げられ『樽見鉄道』が全国から“注目されている”
“愛されている”感は伝わったと思います。

さて写真の説明ですが、参加者は「モレラ岐阜駅」前にある
「モレラ岐阜」で集合し、そこでまず“学科講習”を行いました。
その終了時に、この『辞令』(右側の写真)と
運転士の『ネームプレート』を頂きました。
特に『辞令の交付』(左側の写真)は、同鉄道の田中社長から直に受け、
まるで本物の“運転士”になる『辞令』を渡されているみたいで
少々照れもありましたが嬉しくもありました。

2011年04月01日 8時08分

樽見鉄道に新車・ハイモ330-701。

今日から新年度。また、大船渡線の「一ノ関」~「気仙沼」間が
運転を再開します。

さて、岐阜県の樽見鉄道では、国や県の補助を受けて1億2900万円で、
写真の新車『ハイモ330-701』を導入しました。
なぜ大赤字で存続の危機にある樽見鉄道に“新車”という声も聞かれますが、
補助金の関係で、『新造車両が条件』という止むを得ない一面もあるようで、
表面的にはなかなか分かりづらい面もあります。

それはそれとして、この2月17日に開かれた“樽見鉄道連絡協議会”
(沿線5市町で組成)で、平成23年度・24年度の2年間については、
年間約1億円を支援することが決まり、まずはこの先2年間の廃線は免れました。
しかし、この1億円は期間限定が故に存続に向けての好材料とは言えません。
※平成21年度まで、ほぼ毎年約1億円の赤字が出ているため、
その補填の意味合いです。

社員数の削減を行う一方、様々な増収策を打ってきた樽見鉄道。
でも、それで追いつく赤字ではありません。
そこで何とか地元にその存在をアピールするべく今年から始めたのが、
実は、このブログでも2月15日にUPした『運転体験講習会』なのです。

その詳細は次回以降に譲りますが、
『鉄道が無くなっても「町」が消えるわけではないが、
地図や時刻表から1本の線が消えることで町がなくなったようだ』
という声はよく聞きます。
勿論、そんな「存在感」だけのために鉄道を残すことは本末転倒でしょうが、
『地方を守る』『地方を生かす』という意味での“鉄道”の存在は、
もっと『国』と『県』が、その存続に向けて建設的な議論をやっても良いと
個人的には思っています。



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プロフィール

稲見部長稲見眞一
<自己紹介>
昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!