2011年05月13日 9時00分

乗換券に見る名古屋市電(1)昭和6年頃。

今月1日に、「鹿児島市電」の『電車のりかえ乗車券』の話題をUPした際、
私の「名古屋市電に乗換券はなかったはず」という記述について、
“NPO法人名古屋レール・アーカイブス”のTさんから、
「戦前(~昭和20年)は名古屋市電にも『乗換券』があった」という
ご指摘を頂き、今回、Tさんからその実物をお借りすることが出来ました。
その中から、私が“これは”と思った『乗換券』を3回に分けて
紹介させていただきます。
なお、この『乗換券』の話題をUPするにあたり、歴史的な記述については、
Tさん始め戦前の名古屋市電に詳しい方への聞き取り、
並びにトンボブックス「名古屋の市電と街並み」
(日本路面電車同好会名古屋支部編著)を参考にしています。

まずはこの2枚の『乗換券』ですが、路線図の上部にある数字で
年代を特定でき、上段が昭和6年3月3日、
下段が昭和6年3月5日のものです。何れも80年前の歴史の生き証人です。

券面の色の違いは、乗り換えた時刻を表しており、
赤が午前の発行分で、黒が午後の発行だそうです。
路線図の左側に「発線」(「発」は旧字体)と書いたブロックがあり、
これが最初に乗った路線を現しているものと思われ、
一方、路線図の直ぐ右側の「乗換場所」と書かれた一覧があり、
これで乗換停留所を特定しています。
また一番右側の上のところに「2回乗換」、
下のところに「3回乗換」とあるので、当時3回まで乗換が出来たと
推察されます。

また写真が小さいのでわかりにくいですが、この時代、
名古屋市電の路線網が意外な程シンプルなことにも気付かされます。
このことから昭和6年当時、路面電車としての路線はあったものの、
まだ名古屋市電とはなっていない『路線』があったことが伺え、
興味深いものがあります。

    

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    プロフィール

    稲見部長稲見眞一
    <自己紹介>
    昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!