2011年06月09日 18時18分

長崎電軌(21)追伸。トンネルの話し。

長崎西洋館「トンネル」に入っていく3系統「赤迫行き」375号です。
※今回、この写真はトンネルの話しをするために使っています。

昨日の朝、路面電車で“日本唯一”のトンネルが長崎電軌にあると
UPしたところ、「konantaka」さん、「ぽぽふき」さんからトンネルの件で
コメントを頂きました。
本来なら『コメント』欄でお返しするところですが、今回はここに
詳しく書かせていただくことにしました。

また、以下の内容につきましては、『長崎電気軌道』本社様に問い合わせをし
お聞きした話しを参考に纏めたものです。
長崎電軌のご担当者様には、お忙しい中、大変お手数をおかけしました。
この場を借りて御礼を申し上げます。

●トンネルの条件…“トンネル”は『土の中を通る』というのが
一般的なイメージです。
社団法人日本トンネル技術協会HPでの「トンネルとは?」には
『一般に「2地点間の交通と物資の輸送あるいは貯留などを目的とし、
建設される地下の空間」で断面の高さあるいは幅に比べて軸方向に
細長い地下空間」とあり、やはり地下にあるというイメージはその通りです。

ただ、“一般に・・・”とあるように、何事にもイメージとは異なるものも
含まれることになります。

■長崎西洋館のトンネル…このトンネルは、長崎電軌がその構造物を作り、
所有者である長崎電軌が『トンネル』として登録しているそうです。
例えば、極論ですが「鉄道橋」が「橋」であるかどうかは、
「橋」として登録しているかどうかのようです。

■桜町の“トンネル”…この“トンネル”は、土地を切り崩して作られており、
上の道路等と、電車も走る下の道路の立体交差の構築物であり、
またそもそも長崎電軌の所有物ではないそうです。
つまりこの“トンネル”は、『道路』の構築物であり、
それが“トンネル”かどうかの分かれ目は、どうやら道路所有者の
登録によるものになりそうだということが分かってきました。

『桜町の“トンネル”は「立体交差」』という話しは、以前、うろ覚えながら
聞いた記憶があり、それも含めて昨日のブログに繋がったのですが、
今回はいろいろと勉強になることが多かったです。

私・個人も「ぽぽふき」さん同様、桜町の方が“トンネル”気分なのですが、
そこで思い出したのが大阪市内で高架の阪神高速がビルを
貫いて走る区間です。
その部分はどんな『登録』になっているのでしょう?
ネットで調べましたが結局わかりませんでした。
まあ、法的な根拠も含めて厳密に全てを考えるのも良いのですが
それはさておき、『桜町のトンネル』という言い方は、
その方が“自然な捉え方”とは思っていますし、
現にそう表現しているHPも多く、私はそれを否定するものではありません。
ただ“日本唯一”という時だけは、正確を期するべきとは考えています。
実際、今回の長崎電軌訪問まで、桜町の“トンネル”を私は「トンネル」と
信じて疑っていませんでした。

それにしても「鉄道」の世界は奥が深いというのが今回の結論です。

  1. 長崎電軌担当者 より:

    稲見駅長様

    この時のお電話で対応いたしました広報担当(当時)の者です。
    ネットで調べものをしていたら、たまたまこのページにたどり着きました。

    あの日のことははっきりと覚えており、最初にお電話でお問い合わせ頂いた時には「桜町もトンネルじゃないですかね」と不確かな回答をしたあとで不安になり、工務課に確認したところ記事のような回答だったので、慌てて訂正のお電話を差し上げたものでした。

    私の不勉強と不誠実な対応を反省する印象的なエピソードになっています。



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プロフィール

稲見部長稲見眞一
<自己紹介>
昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!