2011年06月25日 18時10分

三岐鉄道の楽しみ方(18)貨物鉄道博物館で思ったこと。

「貨物鉄道博物館」の敷地から少し離れて、というより、
三岐鉄道「丹生川駅」構内と言ったほうがふさわしい場所に、
写真の91式、97式軽貨車が置かれていました。

草が伸びて、まるで廃線跡に放置された貨車みたいですが、そんなことは無く、
ここの保存車輌です。
私はこの車輌について全く知らなかったですが、旧日本陸軍の貨車で、
車輪の軌間変更が出来ることから様々なところで使われたそうで、
知る人ぞ知る存在なのだそうです。
ただ、先に書いたように、『館』から少し離れて置かれていることから、
目立たない存在のようでした。

ところでこの「貨物を運ぶ鉄道」という“テーマパーク”の存在は、
『鉄道趣味の一ジャンル』という捉え方では不十分で、
日本の近代化を支えた文化遺産の宝庫といっても過言ではありません。
かといって『鉄道趣味』の人や、産業考古学の研究家だけのものであっては、
その存立意義は低くなりかねません。

“文化的な価値”と“活動資金(お金)”との鬩ぎ合い(せめぎあい)は
毎度のことではありますが、貴重な遺産の管理は本当に難しいものが
あります。

私自身こう書きながら、今以上のことが出来ない自分に限界を感じています。

2011年06月25日 9時00分

三岐鉄道の楽しみ方(17)“シキ”まである貨物鉄道博物館。

国立科学博物館「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」にも登録された
「シキ160形160号」。
昭和30年の日本車輌製で、大型変圧器輸送用の130トン積大物車です。
元々富士電機製造向けに作られ、社名変更後の
「日本AEパワーシステムズ」の名前が車輌には入っています。
この段階で全長23メートルという巨大さですが、変圧器を実際に運ぶ際は、
更にその大きさの分だけ長くなるというもので、一体どれだけ大きいのだと
敢えて言いたくなりますが、このシキに限らず、他のも含めてシキが
実際に動いているのを見たことは残念ながらありません。

下段写真の蝶番(ちょうつがい)のようになっているところが左右に
開くそうですが、その状態を見てみたい!というのもさることながら、
ここを広げて保存して欲しかったなどとは、スペースの問題のみならず
オープンスペースでの管理上の問題もあるので、まずは適わぬ夢
なのでしょう。

ところで今回「シキ」の「シ」が『大物車』で、
「キ」が『積載重量25トン以上』というのを初めて知りました。
(これはおまけです)

それにしても、実物のシキを目の前にして、本当によくここまでこのシキを
運んできたものだということと、どでかいシキを保存する
「貨物鉄道博物館」にここで改めて敬意を表します。

2011年06月24日 18時06分

三岐鉄道の楽しみ方(16)復元作業中の貨車。

写真はワ11形11号で、新潟県にあった蒲原鉄道にいた10トン積有蓋車です。
昭和4年製で、側面が鋼板張りではなく、板張りなのが特徴で、
私たちが訪れたときは、その修復の最終段階に入っていました。
枠の鋼体部分の茶色は多分、錆び止めの塗装でしょうが、
そこに嵌め込んである『板』が、如何にも一枚一枚寸法通りに製材し、
丁寧に“組み込んでいます”感が伝わってきて、
何だかとても良い感じでした。

ところで、貨車を保存する場合、鋼材と木材とどちらが“持ち”が
良いかということですが、博物館の方の話しでは、
メンテナンス次第という面はあるものの、意外と『木材』が優れている場合も
あるとのことでした。

鋼板が錆びていくのを防ぐには、定期的な全塗装などが
欠かせないそうですが、『木材』の方は、当初にキチンと対応しておけば、
途中の手間は少なくて済む場合もあると聞きました。
※但し、その“当初”は、仕事ではなくボランティア作業ゆえの
大変さはあるようです。

そう言えば、鉄道車両に限らず鋼材は、塗装等のメンテナンスを怠ると
本体強度に影響があると聞いたことがありますが、
それは気のせいでは無かったと思う・・・。

2011年06月24日 9時00分

三岐鉄道の楽しみ方(15)貨物鉄道博物館の展示車両たち。

ここには1両の蒸気機関車と14両の貨車が屋外に展示されています。
で、取っ付きやすいのやはり蒸気機関車B-4形39号です。
明治31年の英国製で、東武鉄道の貨物牽引機として昭和41年まで
活躍していました。

ところでここの収蔵車両の一部が昨年の10月6日、
国立科学博物館「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」に登録されました。
1)ト246号(10トン積無蓋車)
2)ワフ21120号(2トン積有蓋緩急車)
3)シキ160号(130トン積吊掛式大物車)
4)三岐鉄道「東藤原駅前」での展示車両ですが
ホキ25767号(40トン積セメント専用ホッパ車)
●主な選定理由…「貨車は、使用済みのものは廃却処分になるものが
殆どである中で、本貨車群はいずれも当該技術分野で残されている
唯一のものである。」(抜粋)

また、本年5月には「貨物鉄道博物館」の保存車両・資料群一式が
2011年度『産業考古学会』推薦産業遺産
「貨物鉄道博物館の保存車両・資料群」として認定されました。
ここにいる車両たちが、こうして正しい評価を得ていくことは、
「貨物鉄道博物館」を支えている人たちがいるからこそではありますが、
一方で、訪れる私たちにとっては、貨車の博物館でその車両と接する際の
最初に押さえるべき指針が与えられた気もしました。

2011年06月23日 17時55分

三岐鉄道の楽しみ方(14)流石です。貨物鉄道博物館。

ということで、今回は日本の近代史を支えたと言っても過言ではない
鉄道による貨物輸送なのですが、ここではその一端に触れることが出来ます。

まずは館内ですが、そこで一番に目を引いたのが下段写真のコーナーです。
私自身は『そういえばここは「貨物鉄道博物館」だよね』と
思わず笑ってしまったほどユニークな貨物列車が走る鉄道模型。
ジオラマ中央にあるのは、普通のレイアウトではまずありえない工場です。
「うーン!」と唸らざるを得ませんでした。

そして気を取り直して館内をゆるりと回りました。
展示されているのは(当然ですが)貨物関係の資料と、
貨車に取り付けられていた部品などで、
旅客関係の様な日頃から私たちの目に触れる、馴染んできたモノとは言い難く、
正直、どこからどう楽しもうかと
逡巡してしまったことは否定しません。

ただ、見るにつけ段々「産業遺産」としての役割は理解できるように
なってきました。
また、ここでは所蔵する一部資料(様々な貨車の図面類)が
公開され閲覧できます。
公開資料と閲覧規定は「貨物鉄道博物館」の公式HPで
ご確認いただければと思いますが、「鉄道院工作局」作成という文字は、
インパクトがありました。
そうっ!「国鉄」でもなく「鉄道省」でもなく「鉄道院」なんです。

再訪する楽しみ(理由?)を見つけた気分でした。

2011年06月23日 8時00分

三岐鉄道の楽しみ方(13)貨物鉄道博物館とは?

「西藤原駅」13:40の電車に乗り、「丹生川」駅13:54下車。
この日の次の目的地は日本でここだけの鉄道貨物輸送の専門博物館
「貨物鉄道博物館」です。
私はここが2回目なのですが、先回の訪問日は開館して間もない
平成15年10月19日で、家族同行で如何にも道すがらに
『何かある・・・。見つけてしまった』風を装ったため、
じっくりと中を見ておらず、実質今回が初「貨物鉄道博物館」となりました。

写真の向かってくる電車の右側の建物がそれで、博物館の方の案内で、
参加者の方はすっかり貨物“通”になったようでした。

ところでこの博物館の場所は一見、丹生川駅の構内に見えますが、
実際のところ、丹生川駅の旧貨物ホームを流用していると聞いています。

ところで「鉄博(てっぱく)」と言えば、大宮だったり、今年に入って
「リニア・鉄道館」だったり、大型の鉄道博物館が人気を集めていますが、
こうした思いっきり地味な“てっぱく”も『良いもんだ』と
声を大にして言いたい所ですが、やはり“貨車”は地味すぎなのか、
鉄道趣味のジャンルとしてもマイナーなためか、
この日も来館者はいるものの『人気施設』とは言えない状態で、
これだけの展示物を持ちながら勿体ないというのが素直な感想です。

2011年06月22日 18時01分

三岐鉄道の楽しみ方(12)メジャーで確認も鉄道の楽しみ方。

何やらメジャーで何かを測っている怪しげなおじさんが2人。
NPO法人名古屋レール・アーカイブスのAさんとUさんです。

今回の守山生涯学習センターの『三岐鉄道』乗りつぶしの実施に当たり、
「三岐鉄道の楽しみ方(1)」では、3つの軌間が確かに
“762ミリ、1067ミリ、1435ミリ”であるかを、
実際にメジャーを線路にあてて、参加者の方に説明し、ご納得を頂きました。

ここ「ウィステリア鉄道」では、その余勢を駆って、
敷地内に置かれた車輪の直径を測り、それを基にこの車輪が
どんな車両に使われていたかの推理大会が始まりました。
と言っても、生涯学習センターの参加者の方はこの時には同席していません。
あまりにもディープ過ぎてついていけない懸念があり、
呼びかけることすら憚られた為です。(これは冗談です…)
それはさておき、その結論は・・・。
皆さんも是非、現地で見て触って推理してみてください。

ところで、「ウィステリア鉄道」には下段写真の各ゲージの見本も
(無造作に)置かれています。
上段写真のAさん、Uさんはこのゲージも測り、確かに
“762ミリ、1067ミリ、1435ミリ”の3種類であることが分かりました。
それにしてもただ置かれているだけで、何の説明板も無く、
そんなこともあって、ここで遊んでいる家族連れの方たちは全く無関心でした。
少々勿体無いと思いました。

2011年06月22日 8時02分

三岐鉄道の楽しみ方(11)「ウィステリア鉄道」帽子が一杯。

この庫内で思いの他、目を引いたのは上段写真のズラリ並んだ帽子達。
ミニ鉄道の機関士・運転士さんたちはこれとは違う如何にも
機関士・運転士さんという帽子を被っていたのでそれでは無いようです。
形は駅長さんか車掌さんスタイルですが、この話しの真偽のほどは如何に。

庫内から外を見たのが下の写真。
3本のレールが延びていき、ポイントを経て、奥の転車台へと
繋がっています。
更にその先は、エンドレス区間へと線路は伸びていきます。
また、右側の三角屋根の赤いドラムが給水塔となっています。
今回、給水風景を見ることはありませんでしたが、きっと素敵な光景で
あることは間違いないでしょう。

日曜日の昼下がり、「ウィステリア鉄道」を愛する人たちが集い、
車両を保守しながらミニ鉄道を走らせる。
そこにはいつも子供たちの歓声が響き、その姿を優しい目で見る
家族の姿が・・・。

平和な日々が続き、この風景がいつまでも続くことを、
今だからこそ切に思わざるを得ませんでした。

2011年06月21日 19時30分

三岐鉄道の楽しみ方(10)「ウィステリア鉄道」機関庫の中。

「ウィステリア鉄道」のスタッフの方に、
『機関庫の中に入り写真を撮ってもよいですか?』と聞いたところ、
快諾を得られたので庫内の見学をしました。
中には、工具等が整然と並べられ、掃除も行き届いていて、
ボランティアスタッフの方たちの“愛情”を感じました。

左側写真の右の棚に、この日は走っていなかった
ミニ新幹線「700系のぞみ」の姿も見え、
一方、右側写真は、2両あるSLの内の1両「101号機」で、この日は
修理中でした。

ここでこの鉄道の補足ですが、SLは2両(101号機、102号機)あり、
先回の米粒SLの右側の“巨大SL”の1/8.4スケールで、
ここの鉄道のオリジナルモデルです。
ゲージは5インチですので127ミリとなります。
軌道の総延長は300メートルのとのことで、ミニSLが走るエンドレス区間は
115メートルです。
(「ウィステリア鉄道公式HPから」

そうそう、ライブスチーマーの車両持込も『可』とのことですが、
どれほどの利用があるか興味のあるところですが、結局聞きそびれました。

2011年06月21日 8時07分

三岐鉄道の楽しみ方(9)「ウィステリア鉄道」へようこそ。

三岐鉄道「西藤原駅」のお隣に、「ウィステリア鉄道」があります。
平成13年7月開業の比較的新しい“鉄道”で、毎週日曜日には、
写真では、米粒程度でしか写っていませんが「ミニSL」や
三岐鉄道の「ミニ電車」(101系)も走ります。
※ここに遊びに来ている方の肖像権に配慮しているため、
この『程度』の写真をお許しください。
※ミニSL等の運転時間は10:00~15:00。
 但し、雨天・荒天時は運休。

ここの特徴は、このミニ鉄道に無料で乗れることで、この写真の左側に広がる
芝生広場では、この日(6月5日)も、沢山の家族連れがお弁当を
広げていました。
かくいう私たちもここで、お昼ご飯と相成った次第です。

また、右側のSLは今年の2月27日にこのブログでも少し紹介した
「102号」です。

なお、この「ウィステリア鉄道」は、全てボランティアによって
運営と維持管理がなされており、・・・と書くのは簡単ですが、
車両の整備・子供たちを乗せての安全運行等々、並大抵の気持ちでは
取り組めないとも感じました。

(参考)
最初に私がこの鉄道を訪れた時、「ウィステリア」という
何ともお洒落な響きに、どこかヨーロッパにモデルとなった鉄道でも
あったのかと思いきや、この場所のある、そしてこの鉄道事業に協力した
三重県員弁郡藤原町(現在は、いなべ市藤原町)の町花であった
“藤の花”からきているそうです。
●「藤の花」=英語で「Wisteria」。



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プロフィール

稲見部長稲見眞一
<自己紹介>
昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!