2012年07月02日 19時51分

富山ライトレールの楽しみ方(7)。

さて、富山ライトレールの車内にあるこのカバーの中身は何でしょう?と言うまでもなく、ご存じの方も多いかと思いますが、後ろの扉(乗車用扉)の横に備え付けられたICカードリーダーです。

富山ライトレールでは、『passca(パスカ)』というICカードを発行しており、『パスカ』利用者は前の扉(降車用扉)の所にある運賃箱に備え付けられたカードリーダーもしくは今回、写真では紹介しませんが、降車用扉を挟んだところにもう一つ存在するカードリーダーを使って下車していきます。乗客の動きを見ていますと、横幅のある扉の特性(2列で下車できる)を生かし、ICカード利用者の多数は写真の運賃箱のカードリーダーではなく、もう一つのカードリーダーを使用し、この運賃箱は文字通り“運賃箱”として現金での利用者が使っていました。こうした役割分担は見ていて『お見事!』と思わず言いそうになったほどで、そのおかげで下車は非常にスムースに行われており、これも速達性の確保に役立っていると思ったのですが、ここで本題に戻り、上段写真のカバーの中にあるカードリーダーは平日の朝のみ使われるものです。

使用できるのは「富山駅北」発では始発から8:57まで。「岩瀬浜」発は8:43までとなっています。つまり平日の午前のラッシュ時間帯は、ヨーロッパの路面電車で一般的な『信用乗車』方式がとられているのです。勿論、現金での乗客は前降りなのですが、パスカを持っていれば2つの扉のどちらでも下車できるのです。それにしても料金後払いの交通機関で、『乗務員』のいない扉からの下車は“画期的な存在”であることは間違いありません。

 

そして、、、私が乗車した5月1日に思いもかけぬ光景を見かけました。それは・・・。下車客が少なく乗客が多い停留所で、降車用の前扉から乗車する人が少なからずいたことです。どうやら富山ライトレールでも黙認のような感じで、これも“定時運行”には間違いなく貢献していると感じました。これぞ『信用乗車』方式!と思った次第です。

 

LRTの『速達性』『定時運行』という特性を生かす手法として、『信用乗車』方式の検討はあって然るべきでしょうが、車内検札時の懲罰的課金が認められそうにない日本ではなかなか高いハードルがありそうです。でもICカードの“非”利用者をとりあえず信頼することからの試みは素晴らしいと思っていますし、利用者もその信頼にこたえ続けてほしいものです。

 

(余談)

平日の昼間でもパスカの利用者は多く、また65歳以上の方が使える「シルバーパスカ」の利用も目立ちました。これが停車時間の短縮に繋がっているのでしょう。

    

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    プロフィール

    稲見部長稲見眞一
    <自己紹介>
    昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!