2013年01月21日 20時46分

スウェーデン・ストックホルムのトラム「12系統」(1)。

スウェーデンの鉄道についての情報は、1991年当時は決して多くはないというより、はっきりいって極めて乏しい情報しかありませんでした。

それでも「福祉国家」の名に負けないバリアフリーの交通施策や、その地形(湖に浮かぶ島の街ともいえる)の関係で深いところを走らざるを得ない地下鉄の構造を利用したホーム美術館と言った情報は徐々に集めることができました。そしてもう一つ見つけた情報が、路面電車「12系統」(Nockebybanan=Nockeby線)の起点「Alvik」駅の変わった線路構造でした。

この線は「Alvik」」(私には「アルヴィク」に聞こえました)~「Nockeby」(同じく「ノックビー」)間を結ぶ路線で、路線長は調べきれていないのですが、片道13~15分程度で、平日ダイヤでは最短5分間隔、日中は10分間隔で運転されていました。

こうして走っているところをみれば普通のトラムですが、その地下鉄への乗り継ぎ駅「Alvik」では同一ホームで乗り継ぐ形になっていました。

その「Alvik」の駅の構造ですが、ストックホルム中心部から地下鉄に乗り、ここで下車すると目の前に停車中のトラムが「Nockeby」行きの電車で、逆に「Nockeby」から乗り継ぐ場合は、目の前にストックホルム中心部に向かう電車に乗り継げるようになっていました。どういうことかと言うと、「Nockeby」から来た“上り”電車はホームで乗客を降ろしたあと“下り”ホームに転線していたのです。(私の記憶です)

と書くと簡単なことのようですが、スウェーデンはもともと車の通行は日本と同じ左側通行で、それが1967年にヨーロッパ標準の右側通行に変わりました。ところが鉄道は左側通行のままであり、右側通行の「12系統」の上り電車がそのまま「Alvik」駅に侵入した場合、地下鉄では下り線ホームに入ることになります。

それを回避するために何をやったかと言えば「12系統」の線路を「Alvik」直前で平面交差でクロスさせること。ある意味、ヨーロッパ的な乗客サービスの発想と言え、日本ではもしも同様の事態があったとしても、『平面交差』ということは実現したでしょうか?

失礼!少々パターンは異なりますが、JR北海道/千歳線「南千歳駅」がありました。



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プロフィール

稲見部長稲見眞一
<自己紹介>
昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!