2015年08月07日 21時35分
ところで「大仏鉄道」とはそういった名前の鉄道会社があったということではありません。今回頂いた資料によれば官設鉄道の東海道本線(後に国鉄~JR)に対抗して作られた名古屋~大阪間を結ぶ私鉄/関西(かんせい)鉄道の一部で、関西鉄道の歴史は書籍、ネット等で調べられますのでここでは割愛しますが、要は加茂駅と奈良市内を結ぶ『本線』として明治31年(1898年)に開業したものの『本線』の経路変更に伴い明治40年(1907年)に廃止された区間が「大仏鉄道」という愛称で親しまれているものです。今から100年以上前に、しかもたった9年間の命だったことから“幻の”といわれる大仏鉄道ですが、知る人ぞ知る存在であったその鉄道の遺構を観光名所として現在、奈良市・木津川市で整備しつつあります。
※開業時は加茂駅~大仏駅。翌年に大仏駅~奈良駅間が延長された。
その大仏鉄道の東の起点「加茂駅」に残る油庫(ランプ小屋)。
建物財産票には「明治30」の文字があります。大仏鉄道の開業前の年ですが、その当時に建てられたものなのでしょう。
今回はJR西日本の担当者の方が立ち会うことで特別に油庫の中も見せていただきました。
レンガ組みの美しさに驚かされます。
油庫への出入り口はレンガがアーチ上に組まれています。実用オンリーの倉庫になぜこのような美しい装飾が施されているのかは分かりませんが、その技術力は分かります。
※一番上の油庫の外観写真は、JR大和路線の電車内から撮影しています。