2013年01月15日 22時04分

ドイツ・ICE余談。

「鉄道交通を考える」という仰々しいタイトルで8回書きましたが、できれば明日から少し趣向を変えての連載を考えています。今から22年前の1991年10月~11月にかけ、私はスウェーデン・ドイツ・スイス・イギリスの鉄道(主に都市交通)を見て回りました。その結果を結局仕事では生かしきれませんでしたが、それでも超多忙・生活の全てが仕事で、趣味を楽しむことがままならなかった時代が一段落した今、こうして都市交通を考える原点はそこにあったと思っています。

その前に…。

昨日のICE続きで少々。写真は2011年11月20日、フランクフルト駅に停車中のICEです。

時間は朝の7:40頃だったのですが、フランクフルト発ミュンヘン行きの列車番号に注目!『999』。

そうなんです。「銀河鉄道999」ならぬ「ICE999」です。ネタが弱いといわれるとそれまでですが、一応『999レ』が日本の列車にないものかとネットで検索してみたのですが、見つけられませんでした。 それにしてもゾロ目に弱い私です。

 

一方、こちらはミュンヘン駅で撮影(2011年11月21日)したもので、撮ったときは何も感じていませんでした。その日の夜、パソコンにデータのバックアップをしつつ写真の確認をしていたら、なんと連結器カバーが開いているのを見つけました。 日本では東北新幹線の福島・盛岡駅なら同様の風景は見られますが、ここは頭端式のホームで、しかもこの電車は先頭車です。どんな事情でこうした状態になっていたかは定かではありません。なお、連結器カバーが閉まった状態は昨日のブログでご覧ください。

 

2013年01月14日 23時28分

鉄道交通を考える。(8)ドイツ・ICE「Psst」という発想。

写真はドイツ・ICE(Intercity Express)3でフランクフルト中央駅に停車中に撮影したものです。ICEは言うまでもなくドイツの高速列車ですが、今や『ドイツ』というより『ヨーロッパ』の国際高速列車となっています。

そのICE3は電車列車で、運転席の後ろには座席(一等車)があり、そこからは運転台越しに前面展望が楽しめます。

時速200キロ超の正に景色が飛んでいくというのは「こういうこと」なのでしょう。

そしてその運転台後ろの一等車席は、他の座席とは仕切られたブロックになっており、入口には4つのピクトグラムがありました。

1)「1」=一等車

2)タバコに×=禁煙

3)携帯電話に×=携帯電話の使用禁止

4)口元に人差し指「Psst」の文字=絵の通り「シッ!!静かに!」という意味で、おしゃべりが禁止なのは言うまでもなく、ポータブルオーディオプレーヤーのヘッドホンからの音漏れも禁止でその結果、全ての「音」は無く、ただ電車の走行音だけが体に心地よく響くだけです。

そうそうっ、唯一の例外が、車掌さんによるデリバリーサービスの注文と受取り時です。それも決して大きな声ではなく、さりげなく席にやってきて静かに去っていきます。紅茶を飲む際に音が出ることを久しぶりに感じたと言いたいほど静かでした。

 

日本の新幹線にもこの「Psst」席があったらと思ったことは一度ならずあります。かってJR西日本の「ひかりレールスター」に『サイレンスカー』という存在がありました。今は無くなってしまいましたが、Wikipedia「ひかりレールスター」にあった『サイレンスカー』廃止の経緯はまあ日本ではそういうことなのでしょうという内容でした。

ヨーロッパの手法・考え方が全て良い(正しい)とは思ってはいないものの、取り入れてもよいと思うことも多くあります。ただ自己責任についてのコンセンサスは必要でしょうが…。

 

2013年01月13日 22時39分

鉄道交通を考える。(7)スペイン・バルセロナ市のトラム。

こちらは2004年にトラム(LRT)が整備されたスペインのバルセロナ市。何だかつい最近整備されたというニュースを聞いたと思っていたら、もう9年も経っているんですね。この写真は昨年の11月下旬、スペインを旅行した知人が撮影してくれたものです。「まちづくり」の考え方に基づいて作られたのはフランス・ストラスブールと同様ですね。もっともこちらは人口160万人超の堂々たる大都市で、そのため地下鉄も9路線整備されています。

ところでLRTの特徴の一つとされている低床車。実際に車椅子の方が利用されているのを見たことはありませんが、この写真のホーム上には車椅子の方が写っています。左側に停車中の電車の乗降扉とホームの高さを比較すればその利便性が一目でわかります。

さて、バルセロナでも広告(ラッピング)電車は走っています。この電車は「SEIKO」とあり、間違いなく日本の時計メーカーの広告でしょう。

 

(参考)

*Wikipedia「バルセロナ」

*国土交通省「LRT等の都市交通整備のまちづくりへの効果」平成23年3月

2013年01月09日 21時55分

鉄道交通を考える。(4)ドイツ・マンハイム市。

「電車でまちを元気にしたい~公共交通の活性化はみんなの幸せ~」という「第11回全国路面電車サミット 2012大阪・堺」のキャッチフレーズといっても良いかと思うのですが、その言葉に触発されて路面電車(LRT)を中心に、ドイツと日本の“鉄道”“公共交通”について思うところを書き綴ります。公共交通と鉄道というテーマについては、既に専門家の方たちが様々な書籍・論文等を発表しておられ、私が改めて書くまでもないことは重々承知の上ですが、『趣味』の域を出ない者が書いてみるのも良いかなと思っています。

ということでいきなりドイツの南西部に位置する「マンハイム」市のトラムです。ここは名古屋からの直行便も飛んでいる「フランクフルト」の南に位置する町で、人口は約31万人(Wikipedia他参照)。「マンハイム中央駅」前にもドイツ“らしく”トラムはちゃんと走っており、RNV8形(5701編成)がデンと構えている姿は市街交通の主役が何であるかが一目で分かります。

※マンハイムのトラムの総延長は53.1キロ(参考資料:Schwandl’s TRAM ATRAS DEUTSCHLAND 2012)

そのトラムの線路は、ここマンハイムではトラム専用ではなく、同じ場所を路線バスも走っています。写真のバスは小型車両ですが、大型のバス車両も同様に走っており、トラムとバスが同じ停留所を共用しているようでした。

この駅にはフランクフルトからミュンヘンへの移動時に下車したもので、ICE(ドイツの高速鉄道)を1本遅らせて本来の目的地、ミュンヘンに向かいました。そのため街歩きもしておらず、駅前に数十分いただけですので、とてもここで語るほどではないのですが、それでもこの写真の様子から『公共交通』の利便性は見て取れると思います。

因みに人口31万人言えば、このエリアでは春日井市や津市・四日市市と同レベルで、市電のある町/豊橋は約38万人です。

(写真;平成23年11月20日撮影)

2012年07月14日 23時28分

ミュンヘンのトラム(9)。

ミュンヘンのトラムの話しは今回でお仕舞いにします。

 

さて海外の鉄道の楽しみ方は、日本国内と同じく人それぞれで、また路面電車と言うジャンルに限っての楽しみ方(好み)も人それぞれ。例えば私が(海外に限らず)路面電車の風景で好きなのは、くねくねと道路の形に合わせて敷かれた線路であり、交差・分岐するところでの架線の絡み合いです。

 

上の写真は少々離れた場所から「ミュンヘン中央駅」を臨んでいます。一見、手前に見えている線路から写っている電車が直進したかのように見えますが、実はこの電車は左側の建物の向こうにある線路から左折してきており、そもそも手前の線路と電車が今いる線路は繋がっていません。

また下の写真は「Karlsplatz(カールスプラッツ)」なのですが、ここの交差も相当に複雑で、そうさせている理由の一つが、トラムの方向転換がループ線で行われていることにあります。写真の20系統は、ここが終点であり起点ということで、線路が複線ではなく単線となっているのはそのためと推察しています。

もっともその折り返しループだけではなく、何れにしろトラムの路線図(系統図)を見たとしてもここの線路の謎ときは困難であり、恐らくグーグルアースでも見たとしても一発で理解するのは難しいのではないでしょうか?そんな発見があるのも、たまには日本を離れる理由なのかも知れません。

 

2012年07月13日 22時18分

ミュンヘンのトラム(8)。

『富山ライトレールの楽しみ方(5)。』で、「LRT=低床電車」ではないと偉そうに書いてしまいましたが、「21系統」(専用?私の見た限りですが…)で活躍するP3形はご覧の通りの旧型で、恐らく車歴は40年はいっていると思われます。

車内も今となっては古色蒼然の感ありですが、どこか懐かしいというかレトロモダンな印象を受けました。ところでこの車両ですが、ノンステップの低床車ではありません。それでもR2.2形以降のいわゆる「LRT」としてのトラム車両に交じり、街中を快適に飛ばしていきます。

 

ところで“路面電車”は「遅くて時間のかかる交通手段」なのでしょうか?日本で『車の円滑な通行の障害』であるとして廃止されていったのはその通りでしょうが、そのスピードについてどこまで検証されたのでしょうか?

 

例えば地下鉄桜通線で「桜本町」~「桜山」間の所要時間は約7分。途中、「新瑞橋」「瑞穂運動場西」「瑞穂区役所」の3駅がありますが、実はその同じ区間を昭和40年代の名古屋市電は確か15分程度で走っていたと思います。この比較も単なる乗車時間であれば当然の事ながら勝負になりませんが、地下のホームまでの往復を考えれば、あながち路面電車が遅いとは限りません。

 

ここからは私の個人的な感想ですが、路面電車でどれ位の距離を移動するかによって異なるものの、昭和49年に廃止された名古屋市電がLRT化されたとしたら、一体その所要時間は如何ほどまでに短くなっていたでしょう?劇的とは言わないまでも2~3分は期待したいところです。

P3形の活躍をみるにつけ、「LRT」というシステムを改めて確認した次第です。

2012年07月12日 22時38分

ミュンヘンのトラム(7)。

「ミュンヘンのトラム(4)。」で、電車の最後尾から見る『流れゆく街の風景』の楽しみに触れましたが、今回のミュンヘンで撮影した写真の中から“街並み”を2枚ピックアップしてみました。

と言ってもただ『雰囲気』だけで選んでいるわけではありません。まずこの写真の道路の両側には駐車中の車がずらりと並んでします。ここは駐車OKの道路ではあるのですが、市内を電車で散歩した印象では、所謂「駐車場」というのをあまり見かけず、駐車場所を捜すのが大変ということも公共の交通機関が積極的に利用される理由の一つかも知れません。ところでここに駐車しているのは車『通勤』されている方のようで、毎朝場所取りはあるのでしょうか?ちょっと憶測で書きすぎであると反省はしていますが、実のところは如何なんでしょう。

 

こちらも雰囲気のある石畳の道路です。日本でも路面電車の軌道部分が石畳ということはあっても、車が走れる石畳はあまりないはずで、そもそも路面電車の軌道も含め道路の全幅が石畳と言うのは私の知識の中にはありません。(もしもあったらご免なさい)

ところでここの線路は明らかに『溝レール』でした。ということは恐らく『樹脂固定軌道』も採用されていると思われ、私の推理通りであれば、もう何十年も前からありそうなこの風景も実は、ヨーロッパらしいLRTであると言えます。撮影したのは午前10:30頃ですが、道路に車の姿が少ないのは、都心部では何らかの車の流入制限があるのかもしれません。

 

2012年07月11日 22時22分

ミュンヘンのトラム(6)。

ここの所、「乗り鉄」らしからぬ、『公共交通』としてのトラム(LRT)を語ってしまっていますが、理由の一つは、車を運転できない交通弱者が、都市であっても身近な移動手段を持たないことや、もう一つは全国を「鉄」旅する中で街中の商店街の衰退を見てきているからかもしれません。

今回は、ミュンヘン市内のトランジットモールです。

『「トランジットモールとは?」…繁華街の中を車が進入できず、歩行者とトラムだけが走る道路』と言ったところでしょうか?ドイツではよく見かけるのがこのトランジットモールで、すでに21年前に仕事で出かけたドイツで見かけることがありました。

写真の区間は「ミュンヘン中央駅」から少し東にある「Nationaltheater」~「Theatinerstr.」間のトランジットモールで、右側にある交通標識で、この界隈が歩行者専用であることが見て取れます。もっとも24時間、車の通行禁止ではなく、ここは朝10:15から車の進入が制限されています。実際、通行規制が始まるまで、主に貨物自動車が忙しく走っていました。

因みにこの写真の両サイドにはブランドショップが並んでおり、今まさに「プラダ」「ティファニー」「バーバリー」の間を通り抜けています。日本では、考えられない光景ですが、これが車大国「ドイツ」です。

名古屋で言えば、「栄」から「矢場町」に路面電車があるとして、その区間の車の通行時間に制限があるというと分かりやすいでしょうか?

なお今日の写真では人通りが全くありませんが、それは平日の朝10:15頃だからです。

2012年07月10日 22時42分

ミュンヘンのトラム(5)。

何とも派手でかつ仰々しい感じの『出発信号』です。写真でお気付き頂けると良いのですが、ここは路面電車の路線でありそうでなさそうな3方向への分岐点で、場所は「ミュンヘン中央駅」の電停。写っているのは20系統の電車で振り分けられる3方向の線路の内、真ん中を進みつつあります。

 

電車が到着し、こうして出発するたびに運転系統によって信号が変わっていくのを見ているのは至福の時間で、飽きることがありません。きっとこういうのを“信号萌え”そんな言葉はきっと無い?)というのでしょう。

 

その信号ですが、ここからは私の推察であり、未確認情報で恐縮ですが、まず一番上の列と2段目は進入の可否で、この状態で真ん中の路線に進むことがOKということでしょうか?

3段目は見難いですが、左側は斜め左方向への“太線”、真ん中は上下の“太線”、右側は斜め右方向への“太線”となっており、出発OKだと進む方向の太線が点灯するような気がしました。写真では点灯していませんが、それは電車がすでにポイントを渡り始めたからのようで…、ただこのあたりから私の推理は益々怪しくなり、解説はギブアップします。

 

ところでこの電停に到着した電車は、乗降を終えるとあまり待つこともなくさっさと出発していきます。もっともここだけではなく、ミュンヘンのトラムはポイントや交差点を右左折する場合でも、また信号交差点を通過するときも押しなべてそうなっており、徹底した“電車優先信号”となっていることが4~5分も乗れば実感できます。

日本でも“電車優先信号”は広島電鉄を始め一部の都市で取り入れられていますが、ミュンヘンの優先ぶりには目を見張るものがありました。

 

それにしてもほれぼれする信号機ですが、日本では、ここのように1電停から3路線、3方向に分岐するところは現時点では無いはずです。(土佐電鉄の「はりまや橋」はちと違う印象)

そういえば、そのその昔の名古屋市電では、「沢上町」(現在の「金山」の1つ南にあった電停)に北から東・南・西に向かって3方向分岐がありました。

1)東方向…現在の地下鉄桜通線「桜山」方面。

2)南方向…熱田神宮方面

3)西方向…現在の地下鉄名港線「日比野」方面

そこにどんな信号があったかについては、何せ私が「鉄」に目覚める前の話しで、全く記憶がありません。

2012年07月09日 21時52分

ミュンヘンのトラム(4)。

ヨーロッパの一般的なトラム(路面電車)は、1編成に運転台は1つです。ミュンヘンのトラムも同様で、『旅鉄』の『乗り鉄』として、ドイツの街並みを眺めつつ、心安らぐひと時を過ごすには、運転台横も一つの選択肢ですが、私のお勧めは最後部です。ここには遮るものが何もなく、流れる景色は『過ぎ行く風景』ですが、気分はパノラマカーの最後尾に乗っているのと同じです。ただ他のお客さんがいる場合は諦めるしかありませんが…。

この写真は、ミュンヘンの交通結節点(トラムだけでなく、Sバーン、Uバーンも集まっています)でありかつ街の中心ともいえる「Karlsplatz(カールスプラッツ)」電停付近で撮影したもので、この電停の配線は一回通っただけではとても覚えられません。線路は3方向から集まり、3方向に散っていくのですが、写真の区間は3線が写っている状況でして・・・あまり上手く説明できません。まあ背景の街並みも含めてお楽しみくださいと誤魔化す私がいます。一応、乗っている電車は「Karlsplatz」から中央駅方面行です。

こちらは「Karlsplatz」の隣の「Sendlinger Tor」(先に乗っている電車とは逆方向の電停)のホームです。あまりの広さに絶句してしまいますが、それだけの需要はありそうです。

ところで今回のミュンヘンのトラムですが、撮影したのは現地時間で昨年(2011年)11月20日~21日です。プライベートで出かけたドイツですが「鉄」活動はその20日・21日の2日間だけでした。まあそんな時もあるのですが、あまりの時間のなさにミュンヘン市内では観光は全くしておらず、全区間乗車した路線もなく、一寸だけトラム体験をしに行った次第ですが、このトラムがLRTとしての富山ライトレールが作られるときに参考になっていなければ、そもそも今回の「鉄」活動はなかったかもしれません。

 



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プロフィール

稲見部長稲見眞一
<自己紹介>
昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!