2012年10月15日 20時47分

シンガポールの公共交通(国際列車)。

私の初めての「海外取材」の地はシンガポールでした。昭和55年(1980年)12月9日~12日の4日間、名古屋からシンガポールへの進出企業や日本人学校が取材の対象でした。当時はまだフィルムの時代で、16ミリのカメラに『デンスケ』(録音機)を持参し、1人で取材(撮影・録音を含む)をしていました。

その仕事の合間にジョホール海峡を渡り、マレーシア「ジョホールバル」に入国しました。本来は「鉄」分ゼロのはずだったのですが、駅に停車中の列車を見たときに体が反応しました。恐らくここは「ジョホールバル」駅だと思うのですが、何分、なにも確認する余裕はなく、また列車は「シンガポール」行きだったと推察しています。


その「ジョホールバル」から「シンガポール」からの戻り、激しいスコールの中、道路に並行して線路が続いているのを見つけ、正に国境の鉄道を撮影しました。

この出張時の写真は6枚しか発掘できていません。もっとも他の写真があったとしても鉄道系の写真はこの3枚で全てであると記憶しています。

2012年10月14日 19時38分

シンガポールの公共交通(10)。

シンガポールのお別れに「チャンギ国際空港」のターミナルを繋いでいる「スカイトレイン(Skytrain)」です。実は当初、このスカイトレインに乗る『必要』は全くなかったのですが、今シリーズ(1)で紹介しました「シンガポール・ツーリスト・パス」のデポジットを返してもらうために乗車しました。どういうことでしょうか?私が搭乗予定の航空会社が発着するターミナルにはMRTの駅がなかったことによるものです。ところで先に書いた『必要は無かった』という言葉について、同行者からは“正しい表現ではない”とその時に異議を唱えられていました。本音は“ラッキー”というか“嬉しい展開”でした。

さてLRTと雰囲気が似ている車両が、ここスカイトレインでは単行もしくは2連で運用されており、お約束の話しで恐縮ですが車内の握り棒はMRT・LRT同様三つ又となっていました。

このように立体交差もあって“新交通システム”を活用した『ターミナル連絡用』交通機関という“こじんまり”とした印象ではなく、町の動脈としての公共交通機関といっても差し支えない感じでした。

その先頭部分からの展望はご覧の通りのなかなかのもので、シンガポールの到着時に楽しむのは難しいでしょうから帰途の際にでもお試しあれ…。

2012年10月13日 19時33分

シンガポールの公共交通(9)。

シンガポール南部の人気スポット、セントーサ島への足の主役はこのセントーサ・エキスプレスという名のモノレール。そのカラフルさが魅力的です。

MRT北東線と環状線の双方の終点になる「ハーバーフロント」駅が起点で、セントーサ・エキスプレスの駅名は「セントーサ(Sentosa)」です。

その線路はこの写真のやや上方にある運河のような“海”の対岸を起点に、センターからやや左にある高層ビルの右側を通り、撮影している手前に向かって続いています。ビルの右側にチラッとモノレールが見えているのがご確認頂けますでしょうか?

こちらは終点の「ビーチ(Beach)」駅で、海が印象的ですが、この写真の主役は真ん中に見える“車庫”です。車両は入っていませんが黄色に塗られた『桁』部分が印象的でした。

2012年10月12日 20時25分

シンガポールの公共交通(8)。

「Punggol」線の行き違いです。単線の一方通行のループではなく複線であり、環状線ではないものの右回り・左回りと言うか内回り・外回りと言うかそんな感じです。ところでシンガポールの交通機関はイギリスの支配下にあったことからでしょうが、日本と同じ左側通行です。これが意外と慣れません。海外では右側通行という思い込みがあり、何か不思議な感じがします。

LRTの握り棒もMRTと同じく、三つに分かれています。この写真を撮影したのは「Punggol」駅に戻った直後で、要するに終点です。「Punggol」駅の出発時には乗客も多く、この握り棒は大活躍でした。日本でも「あり!」と思うのですが如何でしょう。

『STEPS FOR EMERGENCY EVACUATION』とありますから“緊急避難の手順”と言ったところでしょうか?文字は英語ではありますが写真入りでとても分かり易く、いざと言うときに、極度に緊張し必要以上にあせらない限りまず手順通りに出来そうな気がしました。無人運転の列車にはこうした配慮は必要ですね。

2012年10月11日 20時22分

シンガポールの公共交通(7)。

MRT北東線の終点「プンゴル(Punggol)」駅から接続のLRT「Punggol」線です。

※「Punggol」線と書きましたが、駅での表示の感じでは「プンゴルLRT」という呼び方の方が合っていそうですが、上手い訳が思い当りませんでした。

LRTと言うと路面電車のイメージなのですがシンガポールのそれは写真の通りどこからどう見ても無人運転の新交通システムです。それも1両で運転されているので巨大空港で見かけるターミナル間の移動用に近い印象です。

シンガポールのLRTはMRT3駅を起点にした区間が開通しており、ここPunggol線のLRTは、「Punggol」駅を中心に西側ループと東側ループがあります。分かりやすいイメージで言えば、千葉県佐倉市の京成電鉄「ユーカリが丘」駅を起点にラケット状の路線のある『山万ユーカリが丘線』が、「ユーカリが丘」駅を挟んで2路線あるような感じでしょうか…。

もっとも西側ループ線は完成しているようですが、“開業”はしていません。「Punggol」駅の路線図には、西側ループ線は駅も含めてちゃんと記載されているのですが、「Not in service」とあり、運転はされていませんでした。

ではLRTはどんなところを走っているのでしょうか?LRTの路線は、新興住宅地の中を走っており、それも高層マンション群の中を走ります。目に入るのではそれだけ!で、一軒家と言うのは見かけませんでした。そしてこのマンション群は、新たな宅地開発で生まれたというのは間違いなさそうで、西側ループが未開業の理由は、まだまだ開発中のため入居が始まっていないといったところのようでした。

2012年10月08日 20時44分

シンガポールの公共交通(6)。

MRT北東線の終点「プンゴル(Punggol)」駅です。その巨大さに驚かされますが、ここは決して一大ターミナルではなく、MRTと言う都市鉄道の終点です。名古屋で言えば「藤が丘」駅と言ったところでしょうか?さすがに『リニモ』はありませんが、ここはLRTとの接続駅となっています。

小学生以下が子供料金となるのはシンガポールも日本と同様ですが、自動改札の横に身長制限を示す女の子のイラストが笑えました。また女の子は一見『ランドセル』を背負っているように見えましたが、そうした小学生を見かけた記憶ないので、恐らくリュックの類でしょう。

それと信じられないのがこのモニター。左側の柱には『防犯カメラ作動中』(青い絵の部分。多分、間違っていない)とあり、それと今シリーズ(4)で紹介した“禁止事項”はこの柱のものです。

ところで「信じられない」と書いたものが何かと言えば、防犯カメラの映像モニターが、改札をする乗客に見えるように設置されていることです。(画面、右上にあります)

ということで、モニターの真ん中で白い服を着て写っているのが私です。このカメラの監視の人は、まさかの私の行動にさぞかし驚いたのではないでしょうか?もっともこのような写真を撮ることもルール違反かも?

ただこうしてモニターで自分の姿を見ることで、禁止事項を利用者にさせない抑止効果をあると思いました。

2012年10月07日 21時39分

シンガポールの公共交通(5)。

今回の写真は、日本だけではなく、恐らく珍しい風景です。何が?それはこの車両が先頭車だからです。左側のシートに座る女性の頭の上に」窓があり、そこから車外の風景が覗いています。

この線は「北東線」で、Wikipediaによれば『世界初の地下鉄のよる全線無人運転』とあり、たまたま先頭車に乗ったことで気付いたもので、偶然の行動が無ければその事実を私が知ることはありませんでした。そして親子連れが座っている右側のシートと先頭部分には空間があり、そこは“パノラマ”とまでは言えないまでも全面展望が細やかながら見える特等『立席』で、そこに陣取れば他の乗客には全く迷惑の掛からない理想的なお立ち台となっていました。

まずはそこからの情景を一枚。先に見える白い部分は駅なのですが、完全に白く飛んでいるので、ある種幻想的ですらあると自画自賛させて頂きます(冗談です。悪しからず)が、実際には残念ながらあまりファンタジーな光景とは言えません。

こちらはホームで停車中にその行先を撮影したもので、灯りがあるので色々なものが多少はっきり写っています。右側の青色の点灯は、恐らく信号機のようなものではないかと思いましたが、左側の白い点灯は何の役目があるかについて推理すらできませんでした。それにしても無人運転なのですが…。

2012年10月06日 20時37分

シンガポールの公共交通(4)。

写真は優先席です。但し、“優先席”とは書かれてはおらず、「Reserved Seating」もしくは「Reserved Seat」と書かれており、それがこの写真では座席の上にありますが、他にはズバリ座席の背もたれの部分に書かれたものも見かけました。要は、“優先席”(「Priority Seat」「Courtesy Seat」)ではなく、“予約席”という発想なのですが、私の“常識”を打ち破るには十分で、かつ「これはあり!!」と思いました。

一方こちらは各種『禁止事項』です。駅に貼ってあったものですが、罰金額が書かれているのがシンガポールらしいと言えるのですが、それにプラスその額に違反度の高さが垣間見えて面白いと感じました。

1)右上…飲食禁止⇒罰金額500ドル

2)左上…禁煙⇒罰金額1000ドル

3)左下…可燃物持ち込み禁止⇒5000ドル

4)右下…『ドリアン』持ち込み禁止⇒プライスレス?

罰金社会らしい「シンガポール」が見て取れますが、『ドリアン』があるのはシンガポールと言うよりは南国ならではといったところでしょう。以前、ドリアンを食べたことがありますが、聞いた(読んだ)話しが頭の中で一歩きしてこともあって、思ったより匂いは強烈ではなく、味は噂通り良かった記憶があります。それでもやっぱり地下鉄の車内への持ち込みは洒落では済まされるものではなく『厳禁』で納得です。

2012年10月05日 22時07分

シンガポールの公共交通(3)。

写真は南北線の「アン・モ・キオ」(Ang Mo Kio)駅のホームで撮影したものです。郊外電車の雰囲気というのはご理解いただけますでしょうか?第3軌条の電車の風景はまるでイギリス・ロンドンのような印象を受けました。さてこの駅に来た理由ですが、シンガポール観光の名所の一つ「ナイトサファリ」の最寄り駅になっているからです。(ここからバスで更に20分ほど乗りますが…)「ナイトサファリ」は夜だけオープンする世界でも珍しい動物園で、園内では日本人だけではなく、正に世界中の人たちを見ました。要は目的地に行きつくまでの経路途中の駅ということになりますが、こうした観光ついでの「鉄」活動は、元々の私の行動パターンとも言えます。

ところでMRTの車内でいくつか面白いと思ったことを紹介しましょう。

まずは、ドアの間にあるこの握り棒。パリの地下鉄で見かけたことがありますが、シンガポールの地下鉄でも必需品となっていました。ただしここシンガポールは3本で1纏めとなっている初めて見たパターンで、実はこれが体の安定にはとても役に立ちました。写真では立っている人はパラパラいる程度ですが、都心部では日中でも結構込み合っており、ラッシュ時などは名古屋市営地下鉄で言えば、朝の「名古屋」→「伏見」並みの混雑で、この握り棒が1本ではなく3本と言うことで、かなり多くの方が体の支えを得ることになり、私も何度もお世話になりました。誰が考えたかは分かりませんが日本にも是非導入してほしいと思いました。

2012年10月04日 21時24分

シンガポールの公共交通(2)。

MRTとは日本の地下鉄と思っていただいて良いかと思います。地上区間もあり、その区間を乗車すると東山線の高架区間と言うよりは郊外電車の雰囲気となります。(写真は次回)

さて近代建築の典型と言ってよさそうな斬新な構築物は如何にもシンガポールと言った感じですが、その真ん中から下の楕円の鳥籠のようなところが南北線「オーチャード」駅の出入り口で、そこから地下に向かってエスカレーターが設置されています。これほどおしゃれな感じの出入り口は、世界でもそうそう見かけることはないのでは?

一方こちらは環状線「プロムナード」駅の構内です。立体的なアートが展示されており、このアートの下にホームがあります。

こうした優れたデザインの出入り口や大なり小なりの芸術作品の展示はこの2駅に止まらず、観光地巡りで乗降した駅で数多く見かけました。シンガポールのMRT駅の出入り口や構内のアート展示についてはあまり雑誌・書籍・HP等で見かけませんが、もしも出かける機会があれば『横見浩彦さん』ばりに全駅下車を目指すのも面白いかもしれません。恐らく2日くらいでシンガポールという一国の鉄道の全駅下車が達成できると思われます。もっともチャレンジした人はいないと思われますが…。なお、私自身が乗降した駅は10駅程度でMRT全駅がこうなっているかは保証の限りではありません。無責任極まりない記事で申し訳ありません。



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プロフィール

稲見部長稲見眞一
<自己紹介>
昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!