2013年06月05日 20時52分

トロッコ王国美深(7)美幸線の廃線跡の使い方。

「仁宇布」の駅名看板は廃線当時のものではなさそうです。その理由は、結ばれる事の無かった「えさし」の名が書いてあるからですが、ここを訪れる年間1万人を超える人たちの多くは、ここが「美幸線」の廃線跡で、「美」=「美深」、「幸」=「北見枝幸」という地名の文字から取られているということを知らずに来ているのではないでしょうか。

トロッコ王国美深という廃線跡の使い方は素晴らしいと思います。ただ今年のように雪解けが遅いと、ゴールデンウィークでの開業に間に合わせるための作業は想像以上に大変だったでしょう。それでも、それを乗り越えてここを運営する「NPO法人トロッコ王国美深」の存在には大きな拍手を送ります。そしてこのNPOがあるからこそ多くの方がここを訪れていると言っても過言ではないでしょう。全国にあまたある廃線跡でどこでもできるとは思えませんでした。

話しは変わって、トロッコの車庫の裏に何故か「サハネ581-19」が!何かに使われている様子もなく、一体どうしてここに置いてあるのでしょう?NPOの人に聞くことは出来ませんでした。

このサハネの存在は有名なようで、2日後にお会いした釧路臨港鉄道の会の方から「今もありますか?」と聞かれたほどです。

この写真はトイレです。

撮影した理由はこの「駅名標」っぽい「にうぷかんこうトイレ」の看板。行先の「おとこ」「おんな」も洒落が効いています。

ここからはトロッコ王国美深のまとめです。

ここに来ることを決めた時、あらかじめ電話で5月9日の朝一番の乗車の予約をしたのですが、その際にまず聞いたのは「一人で来る方はいますか?」でした。「いますよ」とのことでしたが、それでも『一人で乗っても楽しいのだろうか???』とズーッと思っていました。

そして乗車後の答えは「一人で乗っても楽しい」でした。名古屋から来るにはあまりにも遠いのですが、遠路はるばる来た価値はありました。

さようなら「トロッコ王国美深」。本当に『もう一度来たい!』そう思っています。

2013年06月04日 20時42分

トロッコ王国美深(6)日本一の“長距離”運転体験をした!のかな???

往復10キロの『長旅』を終え、「仁宇布」駅が見えてきました。

構内のこの『止まれ』という鉄道らしくない停止標識の所が終点。出発してから40分が過ぎていました。

その『止まれ』の標識の先にあるターンテーブルで車両をUターンさせます。

日本で一番小さい(?)現役の転車台の作業には結構見入ってしまいます。

こちらの(車輪付き)軽乗用車は分かり易く言えば『救援車』。(形式名を付けるならキエ?)

線路上で入国者にトラブルがあったらこの車で出かけるそうです。一昨日このブログで「カーブに差し掛かるとハンドルを切ろうとする」と書きましたが、この車には自動車時代のハンドルが残されており、係りの方によればカーブでは「思わずハンドルを切ろうとしてしまう」とのこと。やっぱりね。

さて「鉄」ちゃんの間で、本物の車両を運転する「運転体験」が静かなブームになっていると言ったら『そうそうっ』と同意してくださる方も多いのでは…。

ここトロッコ王国美深のトロッコたちは運転体験でいう『本物の車両』というジャンルには入らないでしょう。でも物は考えようで、少々どころか相当に強引ですが気動車と言えば気動車ともいえ、ここのトロッコも広義の『運転体験』のジャンルに入れてみたいと思いました。その場合、ここは日本で『最長距離』を運転できる場所をなります。そう言いたくなるくらいここは楽しい場所でした。

2013年06月03日 20時29分

トロッコ王国美深(5)キタキツネ出現!

往路は結構、精神的に一杯一杯でしたが、帰りは余裕のよっちゃん(この言い方、既に死語だろうなあ…)で風景を楽しみました。勿論、安全第一であることは言うまでもありません。(笑)

雪解け前には雪解け前にしか見られない風景があり、また雪が解けると湿地には水芭蕉が花咲き、夏には夏の風景が広がり、そして秋になりこの線路が雪に埋もれるまで本当にいろいろな大自然が楽しめるそうです。話しを聞いているだけでその美しさが目に浮かびました。

とその時、目の前の線路を横切ろうとするキタキツネの姿発見!思わず急ブレーキをかける!ということはなく、スピードダウンしてその場を通り過ぎ、後ろを振り返ったら線路にまだいたのでトロッコを止めて暫し撮影タイム。今回は私のトロッコだけの単独運転だったのでこんなことをしましたが、他のお客さん(トロッコ)がいて続行運転時であれば安全面から考え、停車することは無かったので、正直、ラッキーだったと思っています。

キツネは人間を見て逃げるわけでもなく、その辺りをウロウロ。

線路の上をゆっくりと歩いて離れていきました。そして私はその愛らしい姿を見て、トロッコのサイドブレーキを外し、アクセルを再び踏みました。

キタキツネを見ることはここでは珍しいことではないそうです。線路よりは道路で見かけることの方が多いそうですが、観光客の食べ残しの食べ物であったり、不用意に食べ物を与える人がいたりで、それがある種の獲付けとなり、人里に出没しているそうです。それに伴い、人を怖がらないキツネが道路ではねられることもあるとのこと。「エキノコックス」という感染症の感染源ともされており、見た目の可愛らしさに惑わされない方がよさそうです。参考までに夏が近づくとキツネの毛は抜け落ち、やせ細ったように見えて可愛いらしさは半減だそうです。(談:地元の方)

2013年06月02日 20時23分

トロッコ王国美深(4)一人で乗っても楽しい。

何せ車輪の直径が小さく、乗り心地は期待してはいけません。細かい振動が常時、体全体に伝わってきます。想像以上とここでは書いておきます。でもその揺れがあるから「楽しい!」とも言えます。

時速は恐らく20キロ程度なのでしょうが、目の高さがレールにへばり付いていると言っても過言ではない状況でその迫力は満点です。

さて片道5キロの道のりを走ると左方向に開いているポイントが見えてきました。

ここが終点の「高広の滝」。左回りのループ線で一周するようになっています。

折り返したところでの記念写真。運営スタッフが待ち構えていてこうして写真を撮ってくれます。と言ってもスタッフは記念撮影用のためにここに来てくれるのではなく、ポイント操作のためです。で、そのついでにこうしたサービスも行っているそうです。

そうそう、私が着ている白いコートですがトロッコ王国美深で借りたものです。薄手のダウンジャケットまでは持参したのですが、「もう一枚来たほうが良いですよ」と勧められた一枚です。(借りて良かった。実感です)

因みに無料貸出しのコート類はサイズも揃っており、また毛布等も用意してありました。このサービスはよく考えてあると驚きでした。拍手!パチパチ。

さてこの写真で私は左手でハンドルを握っていますが、当たり前ですがハンドルはカーブを回るためについている訳ではありません。トロッコはフルオープンカーですので、万が一の際に備えての安全のためにいつも手にしています。が、運転を始めた時はカーブに差し掛かると何故かハンドルを切ろうとしている自分がいました。(笑)

さあ「仁宇布」に戻ろう。

2013年06月01日 21時19分

鉄道展/市民ギャラリー矢田(名古屋市)

1980年1月、名古屋鉄道名古屋本線国府駅で撮影された7000系パノラマカーの揃い踏み。私が会員となっているNPO法人名古屋レール・アーカイブスの所蔵写真の1枚です。

この写真を含め、名古屋レール・アーカイブスで所蔵する写真80点余りを展示するイベントが名古屋市東区の市民ギャラリー矢田(名古屋市東区大幸南一丁目1番10号 カルポート東 ナゴヤドームのすぐ北側にあります)で開かれます。

イベントタイトルはその名も「鉄道展」。期間は6月14日(金)~16日(日)、21日(金)~23日(日)の延べ6日間で、東海中学・高校交通研究会同好会、中部大学鉄道研究会、名城大学鉄道研究会、名古屋市交通局との共同展示となっています。

合わせてこの「鉄道展」開催中の6月21日(金)、市民ギャラりー矢田に隣接する「東文化小劇場」で「スギテツ」さんのコンサートも開かれます。SUGITETSU SUPER EXPRESS ~スギテツとゆかいな”鉄”仲間達コンサート~】と銘打った「鉄分」補給にピッタリなコンサートで、午後6時開場、6時半開演となっています。

もともとこのコンサートの企画が俎上に載った際、だったら市民ギャラリーで「鉄道展」をやってみようかという話しになったそうで、市民ギャラリー矢田は普段は17時までの開館ですが、コンサートの日は19時までオープンしています。少し早めにおいで頂き「鉄道展」もお楽しみいただければと思います。

ところでスギテツさんのコンサートの告知写真、二人がとある電車の運転台にいる写真なのですがその電車の型式は?ということについて盛り上がった人たちがいます。分かりやすいのか分かりにくいのかが私には分かりません。

2013年05月31日 20時15分

トロッコ王国美深(3)エンジン付きトロッコに乗車。

エンジン付きトロッコを運転するには普通自動車免許が必要です。私は免許を持っているので運転が可能となりました。

ところでこのトロッコは私が実際に運転した車ではなく、記念写真用に乗った車両で20号車です。ここトロッコ王国美深には1号車から20号車までの最少で4人乗りから最大9人乗りまであります。

実際に運転した6人乗りの12号車。ここからこの風景の中を走ります。その運転前にまずは係りの方から、トロッコの操作方法(アクセル、ブレーキ、サイドブレーキの使い方)と運転上の注意(踏切は自動車優先などいろいろ)を聞きます。とはいっても踏切で交差する道路は除雪されておらず、「ここが踏切かぁ」と思うだけで一応気分だけ出して徐行したりしました。雪がなくなれば車優先となりますが、さてどれくらいの確率で車に遭遇するのでしょうか?

今年の北海道は春の訪れが遅いと言われていましたが、ここ美深トロッコ王国も同じで、今年は4月27日の開国ギリギリまで除雪に追われたそうです。それはこの風景を見れば一目瞭然。人為的に除雪をしなければこの線路も雪を被ったままであろうことは容易に想像できました。

ゴールデンウィーク中にも雪が降ったそうで、私が訪れた5月9日も白いモノがちらついていました。係りの方の話しでは、この時期、雪が全く無いという事はないそうですが、それでもここまで雪が多い年は稀だそうです。

2013年05月30日 20時05分

トロッコ王国美深(2)仁宇布まではデマンドバス。

美幸線が廃止になったあと、平行道路には転換バスが走っています。

「美深ターミナル」(美深駅前にあるバス停)~「仁宇布」(「トロッコ王国美深」の目の前)間に名士バスは今も走っています。但し、毎便必ず走る定期バスではなく、ダイヤは決まっているものの利用者が予約した時だけ走るデマンド(予約)バスです。

念のため町役場に観光客の利用が可能かどうか聞いたところ「名士バスに電話して予約していただければ利用できます」とのことでしたので、そのようにしたのですが、美深ターミナル発8:20のバスの利用者は予想通り私だけ。また折り返しの便にも予約があったとは思えず、片道550円で貸切り状態でした。

実は帰りの仁宇布発11:50の利用客も私だけで、結局1100円で片道20キロ以上の距離を2往復してもらったことになります。相当に気が引ける状態で、こんなことなら名寄でレンタカーを借りるべきだったのだろうかと考えてしまいました。ただ、利用者数のカウントとしては貴重な一人になりそうで、それはそれで良かったのかもと自分を慰めています。

で、広い道路から「トロッコ王国美深」に曲がるところには一際目立つ看板がありました。そこには足こぎの車が飾られており、開国(オープン)時の平成10年(1998年)当時はひょっとしてこの足こぎタイプで線路を爆走したのでしょうか?

「トロッコ王国美深」は広々とした風景の中にありました。36年前の記憶はまったくなく、こんなところに「仁宇布」駅があったのだと感慨にふけるひと時でした。

さて王国への入国には1200円が必要で、それを支払うと「入国旅券 PASSPORT」が発行されます。因みに“乗車券”は毎年作り変えているようで小さな文字ですが「2013年ご乗車記念」とあり、裏面には『0484』のナンバーがふられており、私が今年484人目の入国者なのだそうです。

こうして私は平成25年5月9日(木)、無事「トロッコ王国美深」に入国しました。

2013年05月29日 19時59分

トロッコ王国美深(1)美幸線の思い出。

今回の北海道「鉄」旅の第2の目的は昭和60年(1985年)に廃止された「美幸線」の線路跡を利用している『トロッコ王国美深』でエンジン付きトロッコを運転すること。その話しをする前に「美幸線」の思い出を少々。

昭和52年(1977年)2月12日は「羽幌線」(幌延~羽幌)、「留萌本線(増毛~深川)を乗車。2月13日は「深名線」(深川~名寄)に乗車した後、宗谷本線「美深」駅から美幸線に乗りました。

まずは美深駅の入場券。その料金に注目!30円です。

925Dに乗車。美深発12:52、仁宇布の駅には13:22に到着しました。駅舎が思いの他立派な建物で驚きましたが、折り返しの13:28発926Dに乗車のため、この写真と入場券を買ったところでタイムアップ。今、駅舎の写真を見直してみたら煙突から煙が出ていました。いい雰囲気です。

当時、美幸線は営業係数で『日本一の赤字線』として有名な存在でした。(地元ではそれを逆手にとった宣伝をしていましたが、今は忘れ去られているでしょう)

1閉塞で途中駅での列車交換はなく、1日5往復が行き交っていました。その美幸線の終点「仁宇布」駅は何と!!有人駅!で入場券を売っていました。その料金は60円!「美深」駅と同じ日に買っているにも関わらず料金が違います。理由は簡単。本来なら美深駅の入場券には「料金変更」の印が押されるべきなのですが押されていなかったという事でしょう。それより運賃値上げは前年の11月で、利用者数がそれほど多いとは思えないこの駅で「60円」があったことが驚きでした。因みに発行No.は“0018”で、私が60円の入場券を買ったのは18人目ということになります。

2013年05月28日 19時04分

宗谷本線各駅停車の旅(10)美深駅今昔。

時計塔が町のシンボルと言ってもよさそうな「美深」駅舎。

一方、昭和52年(1977年)2月13日の美深駅は雪の中。昭和の「美深」駅の出入り口の両サイドには、氷柱(つらら)が下がり、北海道の冬に旅した者にとってはいい思い出となっています。もっとも地元の人にとっては珍しいことではなかったでしょうが…。

ところで今回、このブログを書いていて気付いたのですが、画面一番左側に写っている公衆電話は「黄色」です。今更ながらですがこちらは懐かしいの一言です。

駅前の旅館に入り、夕食後にしばし散歩。時間は19:10頃。19:16発の上り特急「スーパー宗谷4号」を待っている人影は一つでした。

美深駅で「スーパー宗谷4号」と交換する4339Dが到着。駅前の駐輪場からは思いのほか多くの自転車が出ていきました。

2013年05月27日 21時01分

宗谷本線各駅停車の旅(9)シカに注意!

「佐久」の次の駅「筬島(おさしま)」駅を出て直ぐに急ブレーキ。エゾシカです。

写真の⇒の先にいるのが分かりますでしょうか?お尻が見えています。

「天塩中川」を出てからここまでに1回「シカとの遭遇!」の警笛&ブレーキがあり、それでカメラを一応用意して待ち構えていました。ただカメラで追いかけるのは難しかったです。で、私がシカに注意を払ったのはここまで。この写真の時もブレーキをかけただけで停車するまでには至らなかったのですが、私は過去2回、急停車を経験しており、最大5分弱の遅れが出ました。

また今回は他の場所で20頭近い群れがいるのを見たりもしており、事の善し悪しは別に、珍しいことではなくなったこともあります。

秘境駅ランキング29位の豊清水駅で4337Dと交換。時間は夕日が綺麗な17:34頃。私は美深までの乗車でしたので、これが最後の交換列車となりました。

美深着17:55。私を含め4名乗車での到着でした。

ここで思いのほか多い10名ほどの方が乗車。

こうして3時間43分の普通列車の旅は終わりました。テールランプの赤色が妙に旅情をそそりました。



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プロフィール

稲見部長稲見眞一
<自己紹介>
昭和52年4月、中京テレビ放送入社。「ズームイン!!朝!」を始めとした情報番組や「ドラマ」「ドキュメンタリー」等のディレクター・プロデューサーを務めた。鉄研最終回(2010年1月29日放送)では自ら自慢の鉄道写真「俺の一枚」を持って出演。 鉄道歴は小学校5年からスタートしはや半世紀。昭和55年には当時の国鉄・私鉄(ケーブルカーを除く)を完全乗破。平成18年にはケーブルカーも完全乗破。その後も新線が開業するたびに乗りつぶしている筋金入りの“乗り鉄”。好きな鉄道は路面電車。電車に揺られながら窓外に流れる街並みを眺めているのが至福のとき。さてスジを寝かせてゆったり乗り鉄と行きましょう!