2012年07月11日 20時32分
ハードパンチャー、安らかに…
突然の訃報に驚いた。
プロボクシング東洋太平洋元王者・石井広三さん。
「今月5日に死去」と報じられたのだ。まだ34歳の若さだった。
9年前、中京テレビで放送した「WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」で、
挑戦者として3度目の世界のリングに上がった石井さん。
それまで2回の挑戦が惜敗だっただけに周囲は「3度目の正直」を期待したが、石井さんのコンディションは万全ではなかった。
実況を担当した私も試合前の練習取材で精彩の無さを感じ心配していた。
試合は王者・オスカー・ラリオス選手(メキシコ)の強打に石井さんが2RTKO負け。現役最後の試合となった。
同時にそれは、10年間中継を担当した私の最後のボクシング実況でもあった。
破壊力のあるパンチを武器に名古屋のリングを盛り上げた功労者。
質問に訥々と答える飾らない人柄と人懐っこい笑顔。
取材を終えてジムから私が帰ろうとすると「駅まで送りますよ」と助手席に促してくれた優しいファイターだった。
去年、私が久々にボクシング関係者の集まりに出席した時も、「しばらくです!」と変わらぬ笑顔で話しかけてくれた石井さん。
ご冥福をお祈りします。